2020 Fiscal Year Annual Research Report
生体内のHIV-1複製を制御するエピジェネティックネットワークの解明
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19J22802
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長岡 峻平 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | HIV-1 / トランスクリプトーム / オミクス / AIDS / エイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム中にGFP遺伝子を組み込んだHIV1-GFPをヒト化マウスに感染させることで、GFP陽性のCD4T細胞(ウイルス産生細胞)とGFP陰性のCD4T細胞(非感染細胞と潜伏感染細胞)をそれぞれ分取した。これらの細胞集団のトランスクリプトームをdigital RNA-sequencing analysisにより解析したところ、GFP陽性細胞においてCXCL13と呼ばれるケモカインの発現が有意に高いことが明らかになった。これより、CXCL13がHIV-1の産生に何らかの影響を与える可能性を考えた。 先行研究によりCXCL13はCXCR5と呼ばれる受容体に結合することが知られている。そこで、HIV-1に感受性であるJurkat CCR5細胞にレンチウイルスを感染させることでCXCR5発現Jurkat CCR5細胞を作製した。そして、CXCL13の存在下でHIV1-GFPの感染実験を行なった。その結果、CXCL13によりHIV-1の感染率が上昇することはなかった。これより、CXCL13そのものはHIV-1の産生に影響を与えることはないが、HIV-1に対して高感受性あるいはウイルスを産生しやすい細胞のマーカーである可能性が示唆された。 昨年度・今年度の研究成果は、共同研究者のデータと組み合わせて論文化されており、既にアクセプトされている 今後はエピジェネティック修飾遺伝子がHIV-1の発現・産生に与える影響を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトの進行方向が当初の予定とは若干変化したが、昨年度と今年度の研究成果をまとめて論文化することができたため、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、トランスクリプトームのデータからGFP陽性細胞において何らかの役割を持つ可能性がある転写因子・DNA結合タンパク質を推定しており、GFP陽性細胞ではKMT2Aと呼ばれるヒストンH3K4me3修飾酵素の活性が高いことが分かっている。来年度はT細胞の細胞株においてCRISPR/Cas9により本遺伝子をノックアウトし、ウイルス複製への影響を解析することで、生体内のHIV-1産生細胞の特徴をより明らかにしていく予定である。
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