2021 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ管新生に着目した犬の腸リンパ管拡張症の病態解析
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19J22813
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永原 拓朗 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 犬 / 腸リンパ管拡張症 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸リンパ管拡張症(IL)を生じる分子として、一酸化窒素(NO)に着目した。過剰なNOがILの病態に関与すると仮説を立てて、誘導型NO合成酵素 (iNOS) 陽性細胞数を免疫組織化学により評価した。リンパ球形質細胞性腸炎の犬の十二指腸のiNOS陽性細胞数は健常犬より有意に増加していたものの、ILとNOの過剰産生の関連を支持する結果は得られなかった。本成果はThe Journal of Veterinary Medical Science (JVMS) 誌に受理された。 次に、リンパ液が漏出する機序としてリンパ管内皮細胞 (LEC) の透過性の増加に着目した。LECの透過性は、脂肪酸の一種であるオレイン酸の添加、あるいはNO産生亢進によりそれぞれ亢進することが報告されている。そこで本研究では犬の胸管由来のLECを脂肪酸に暴露した後、LECの透過性およびiNOSの発現量を評価した。しかしながら、犬のLECの透過性やiNOSの発現量調節に脂肪酸が関与することを支持する結果は得られなかった。 最後に、腸のリンパ管に強い影響を与える要因として腸内細菌に着目し、ILとの関連を検討した。ILの犬において、多糖類産生菌のRuminococcus gnavus group属が有意に増加し、酪酸産生菌であるFaecalibacterium属とR. torques group属をはじめとする5つの属が有意に減少していた。多糖類は腫瘍壊死因子α (TNF-α) の産生を誘導し、酪酸は抑制することから、ILの犬の腸内細菌はTNF-αの産生を増加させ、炎症を惹起しうる構成であることが示された。また、R. gnavus group属の増加が血中アルブミン濃度の低下に有意に関連することが示され、本菌が犬のILにおける低アルブミン血症の病態において重要である可能性が示唆された。本成果をJVMS誌に投稿中である。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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