2020 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度-核磁気共鳴分子プローブを用いた生体内レポーターアッセイ系の構築
Project/Area Number |
19J22848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 洋平 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 分子プローブ / 動的核偏極法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では生物個体深部における目的遺伝子の発現解析を実現するレポーターアッセイ系の構築を目指して研究を遂行する。 生体内レポーターアッセイ系を実現する手法として、生体深部を非侵襲的に観測できる核磁気共鳴法(NMR)に着目し、その原理的な感度の低さを動的核偏極法(DNP)と呼ばれるNMR高感度化技術を適用することで克服することとした。しかしながら、一般に、DNPによって人工的に作られた高感度化状態は直ちに失われてしまうという問題点がある。そこで本研究では、高感度化維持時間の大幅な改善を基質構造レベルで試み、DNPを用いる高感度化レポーターアッセイ系の構築の達成を目指す。 本年度は、ペプチド型超高感度-NMR分子プローブの設計指針を取得し、それに基づき分子設計を施すことで、生体応用可能な超高感度NMR分子プローブを開発することに成功した。具体的には、主鎖長や側鎖の位置に着目して縦緩和時間測定ならびに緩和機構解析を実施し分子設計指針を取得した。そして、これまで大きな分子サイズゆえに生体応用が難しいと考えられてきたトリペプチドやペンタペプチドを超高感度-NMR分子プローブとして発展させ、生体内でその代謝を観測することに成功した。今回取得した分子設計指針は、これまで生体内で用いることができないと考えられてきたペプチドを分子プローブとして発展させることができるため、生体応用可能な超高感度-NMR分子プローブの幅を大きく広げる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DNPを用いる生体内高感度化レポーターアッセイ系の構築を目標として、生体内で用いることができる超高感度NMR分子プローブの拡充を実施している。特に本年度は、ペプチド型分子プローブの設計指針を取得し、それに基づいた超高感度NMR分子プローブを開発することに成功した。今回取得した分子設計指針は、これまで生体内で用いることができないと考えられてきたペプチドを分子プローブとして発展させることができると考えられる。本指針に基づいて開発される分子プローブは生体内代謝解析、ひいてはDNPを用いる生体内高感度化レポーターアッセイ系の構築へと大きく貢献すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発したDNP NMR分子プローブの高感度化状態における評価をさらに進めていく予定である。また、本研究で取得した分子プローブ設計指針に基づいて、新規のDNP NMR分子プローブ開発も進めていく。以上の方針のもとに、生物個体深部における目的遺伝子の発現解析を実現するレポーターアッセイ系の構築を目指して研究を推進する
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