2021 Fiscal Year Annual Research Report
教育における水平的差異が生じさせる格差の生成メカニズムに関する研究
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19J22903
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成澤 雅寛 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2023-03-31
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Keywords | 論文投稿作業 / 追検証 / 出身階層が教育における水平的差異に与える影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は、これまでの研究成果を論文という形に整理し、これまでの研究成果を新たなデータを用いて頑健性を確かめたことにある。具体的には、【1】これまでの研究成果を論文などの形にして投稿作業を行い、【2】新たな分析手法などを用いてこれまでの研究成果をさらに頑健なものにしていった。 【1】に関しては、本研究の根幹となる「教育における水平的差異が生じさせる格差のメカニズム」が日本に存在することを示した初年度の研究結果を、本年度において論文の形にまとめ上げた。この研究の根幹となる「教育における水平的差異が生じさせる格差のメカニズム」という発想は、国際的にも重要な議論であると考えられる。そのため、この研究成果は、英語での発表を考えている。さらに、本年度は、教育における水平的差異が到達階層に影響するという前年度の分析結果も論文の形にした。この分析結果は、初年度の分析結果を追認、および発展させて議論をしている点で重要である。この分析結果については、国内の社会学系雑誌で権威のある雑誌のひとつにおいて発表する予定である。また、前年度に行われたインタビュー調査の結果を国内の研究雑誌において発表する予定である。職業高校に焦点を当てた研究は、未だ数少なく、重要な研究成果のひとつになるだろう。くわえて、【2】として、初年度の分析結果のもう一側面を重回帰分析、多項ロジット分析、KHB法などを用いて再検証した。具体的には、出身階層が教育における水平的差異に与える影響を検討した、この分析結果もまた、初年度の分析結果を追認し、発展させた議論をしている点で重要である。この分析結果も、国内の研究雑誌において発表する予定である。このように、本年度は、これまでの研究成果を論文の形にまとめ、投稿作業を行い、さらに新たな分析まで行ったという実績が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、【1】初年度や前年度の研究成果を学会発表や論文投稿などの形で発表すること、【2】文献収集を行いながら本研究の議論を国際的に意義のある議論へと発展させること、【3】新たな分析手法を用いて初年度の研究成果をさらに頑健なものにしていくことなどを行なっていく予定であった。 【1】に関しては、論文投稿作業が順調に行われた。研究実績において記載した4つの研究について、全て投稿作業に移すことができた。したがって、これについては、おおむね順調に計画通りに進められていると思われる。【2】に関しても、国内外問わずに文献を収集し、本研究を国際的にも意義のある議論へと発展させることができたと考えられる。実際に、「研究実績の概要」において記載したように、研究の一つを英語で発表する予定である。【3】に関してもまた、「研究実績の概要」において記載したように、重回帰分析、多項ロジット分析、KHB法などを用いて、初年度の研究成果を追検証した。その結果、十分に初年度の研究結果を追認しながらも、発展した議論を行うことができた。この研究成果についても、【1】として、論文の投稿作業に移ることができた。したがって、【1】【2】【3】の作業は、順調に行われていると考えられる。 その一方で、本年度は、投稿作業を順調に進められたものの、論文を本年度中に発表するということはできなかった。本年度は、4つのこれまでの研究をまとめ、投稿作業を行うことに注力した。そのため、ひとつひとつの論文をまとめることについては遅れてしまった。したがって、研究成果の発表については遅れているものの、研究全体としては、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、国内外の文献を収集しながら、本研究の研究結果を国際的にも意義のあるものに発展させ、研究結果を頑健なものにさせながら、その成果をさまざまな研究雑誌において発表できるように注力した。それに対して、次年度は、【1】これまでの研究成果を研究雑誌にて発表する、【2】これまでの研究成果をすべてまとめて一つの研究成果としてまとめる予定である。次年度においても、コロナのために海外での活動が困難になることが推察されるために、国内での研究活動が中心となると思われる。 【1】に関しては、今年度に行われた研究成果と行われた投稿作業をさらに進めて、研究雑誌で発表することが望まれる。ひとつは、国際的発展も踏まえて、英語での発表が望まれる。残りの3つの研究成果は、日本の格差のメカニズムを明らかにしているという点で、国内の不平等の対策を検討するためにも、国内の研究雑誌での発表が望まれる。【2】に関しては、次年度が特別研究員の採用最終年度であるために、これまでの研究成果のすべてをまとめて、ひとつの研究成果としてまとめることが望まれる。具体的には、「教育における水平的差異が生じさせる格差のメカニズム」を、すなわち教育における水平的差異が格差を生じさせていることを計量的手法によって明らかにし、そのメカニズムの一部をインタビューによって明らかにし、それをまとめて博士論文とすることが望ましい。この博士論文では、日本の格差の存在を明らかにし、そのメカニズムについても考察する。そのために、日本の社会問題の対策にとって重要な研究のひとつになると思われる。したがって、次年度は、今年度と同様に、これまでの研究成果を研究雑誌において発表することとに加えて、特別研究員採用中の研究成果のすべてをひとつの研究としてまとめあげることが求められると考えられる。
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