2020 Fiscal Year Annual Research Report
分配に関する行動の理論モデルの構築へ向けて -実験研究によるアプローチ-
Project/Area Number |
19J22904
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福冨 雅夫 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
Keywords | 分配に関する選好 / 経済実験 / グループサイズ / グループ構造 / 罪悪感回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナ感染症の拡大の影響で経済実験の実施が困難であったことから、昨年度までの研究成果の取りまとめと論文の執筆を中心に行い、2本の論文が筆頭著者として査読付学術誌に受理された。 学術誌に受理された一つ目の研究は、経済実験を用いてグループサイズの変化が分配に関する行動に与える影響を検証したものである。独裁者ゲームをグループサイズの観点から拡張した複数人複数グループ独裁者ゲームを設計し、大学生を対象とした実験室実験において実施した。実験結果より、分配の対象となる人数を増やしたことで多数の被験者が自己利得最大化と整合的な選択を行うようになることが明らかとなった。二つ目の研究では、2019年に農山村民を対象として実施したフィールド実験のデータを用いて、高齢者の時間選好と年齢や認知能力などの個人属性を検証した。 また、昨年度から継続して取り組んでいる罪悪感回避論文に関しては、追加実験の結果を分析し、論文の改訂を行った。本研究の結果は、2020年夏に行われる査読付国際学会で報告する予定であったが、新型コロナ感染症の拡大の影響で中止となった。 さらに、リスクや不確実性が存在する状況下でのグループの行動を検証した実験研究の論文化も現在進めている。当研究はグループ環境下でのリスク態度が、グループサイズや意思決定の集約方法によってどのように変わるか検証するために、大学生を対象として実施した実験室実験のデータを分析したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の拡大の影響で、実験室実験とフィールド実験が実施が困難であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も新型コロナ感染症の拡大が続くようであれば、実験室実験とフィールド実験を実施せず、オンライン経済実験に切り替える予定である。
|