2020 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛輸送担体に着目した脳卒中後遺症に関わるミクログリア極性転換の制御機構の解明
Project/Area Number |
19J23044
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
新武 享朗 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ミクログリア / 亜鉛 / 亜鉛トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ミクログリアのM2/M1極性転換を誘導するため長時間の培養実験を行ったところ、昨年度までの無血清培地条件では細胞死が認められた。そこで、低血清培地を用いて再度M2ミクログリアにおける亜鉛トランスポーター遺伝子の発現変化について調べるため、マウス由来ミクログリア細胞株(BV-2)ならびにC57BL/6マウス由来初代培養ミクログリアに対しM2誘導作用のあるIL-4を添加した。その結果、両細胞で共通してIL-4添加12時間後にZIP6遺伝子の発現量がコントロール群と比較して増加していた。 ZIP6は細胞膜に局在することが知られている。そこで、IL-4誘導性M2ミクログリアにおいてZIP6を介した細胞外Zn2+の取り込みがM2/M1極性転換に影響を及ぼすか否かについて検討した。具体的には、IL-4と同時にZnCl2をBV-2に処置し、IL-4処置18時間後にIL-4ならびにZnCl2を除去するため細胞を洗浄した。その後、M1誘導薬であるリポ多糖(LPS)を24時間処置することでミクログリアM2/M1極性転換を誘導し、培養液中の炎症性サイトカイン(IL-6)量についてELISA法により検討した。その結果、ZnCl2未処置群と比して、ZnCl2処置群では培養液中のIL-6が増加していた。 以上の知見から、細胞外Zn2+がZIP6を介して細胞内に取り込まれ、ミクログリアM2/M1極性転換を促進していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、無血清培地から血清添加培地へと実験条件を変更したことにより、当初の予定よりは少し遅れている。しかしながら、標的とする亜鉛トランスポーターをZIP6に絞り込み、細胞外Zn2+がM2/M1極性転換後の炎症性サイトカイン産生を促進することを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ミクログリアM2/M1極性転換におけるZIP6の役割について薬理学的並びに分子生物学的手法を用いて詳細に解析を進め、これらの研究成果を論文として公表する。
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[Presentation] EAAT3日内変動は一過性脳虚血再灌流後の海馬におけるZn2+集積を制御する2021
Author(s)
新武享朗, 東洋一郎, 慶田花蒼, 森下祐介, 清水孝洋, 清水翔吾, Zou Suo, 山本雅樹, 中村里菜, 秋澤俊史, 齊藤源顕
Organizer
第21回日本亜鉛栄養治療研究会学術集会
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[Presentation] 一過性脳虚血後の海馬における Zn2+集積は EAAC1 日内変動によって制御される2020
Author(s)
新武享朗, 東洋一郎, 慶田花蒼, 森下祐介, 清水孝洋, 清水翔吾, Zou Suo, 山本雅樹, 中村 里菜, 秋澤俊史, 齊藤源顕
Organizer
メタルバイオサイエンス研究会2020, 第8回メタロミクス研究フォーラム,第6回日本セレン研究会, 生命金属に関する合同年会 Consorium of Metal Bioscience2020