2020 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳開始因子を介した植物ウイルスに対する劣性抵抗性機構の統一的理解
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19J23080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 祐司 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 植物ウイルス / 植物保護 / 劣性抵抗性 / 翻訳開始因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
食糧の安定的な生産を実現するため、植物ウイルスの防除技術の開発、改善は非常に重要である。本研究では、すでに栽培作物においても数多く見出されているeIF4Eなどの翻訳開始因子の欠損による劣性抵抗性の分子機構を解明することを目的として研究を行なっている。今年度は無細胞翻訳系の翻訳活性検討を行い、その活性を確認するとともに、変異体に対する相補系統作成を行った。 これまでにeIF4Eファミリータンパクの欠損により発現する劣性抵抗性の分子機構は多様である。これまでに抵抗性の発現メカニズムに迫った研究例を整理し、これを総説として日本ウイルス学会の学会誌「ウイルス」に発表した。 さらに優勢抵抗性遺伝子JAX1がトマトにおいて広範なポテックスウイルスに対する抵抗性を付与することを見出し、この成果は日本植物病理学会にて口頭発表された。今後は無細胞翻訳系を用いて抵抗性の標的タンパクを探索するとともに、関連因子の網羅的解析を行い、翻訳開始因子のウイルス感染時の機能を解析することが期待される。また、作出した相補系統に対する接種試験も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、シロイヌナズナの形質転換作業に大きな遅れが生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在遅れていたシロイヌナズナの形質転換作業を進めている。今後は無細胞翻訳系を用いて抵抗性の標的タンパクを探索するとともに、関連因子の網羅的解析を行い、翻訳開始因子のウイルス感染時の機能を解析することが期待される。また、作出した相補系統に対する接種試験も予定している。 合わせて、eIF4Eファミリータンパクであり、ポテックスウイルスに対する劣勢抵抗性因子であるnCBPの標的タンパクである、ウイルスの移行タンパク質TGBp2とTGBp3の翻訳機構について解析を進める。
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