2020 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失パワーデバイス実現に向けた窒化ガリウム中の深い準位の生成メカニズムの解明
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19J23296
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鐘ヶ江 一孝 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 深い準位 / 炭素 / 補償アクセプタ / 低ドーピング制御 / 正孔トラップ / 深いアクセプタ / 点欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に確立したショットキー接合を用いたn型窒化ガリウム中の深いアクセプタ密度の正確な定量手法を改良し、正確さを保ったまま高速に定量する手法を確立した。従来の方法では、深いアクセプタの熱過程による電荷状態の変化を接合容量の過渡変化として検出していたのに対し、新たに改良した方法では、熱過程よりも速い光過程による電荷状態の変化を接合容量の過渡変化として検出する。検出に用いる光の波長と強度を適切に選び、測定条件を最適化することで、測定の正確さを損なうことがないことを示し、測定時間を20分の1程度に短縮することに成功した。 この手法を用いて、炭素濃度が異なる窒化ガリウム中の深いアクセプタ密度の定量を行い、深いアクセプタ密度と炭素濃度が10^14 cm^-3から10^17 cm^-3の幅広い密度範囲で一致することを示した。深いアクセプタの起源として、窒素置換炭素が考えられており、本研究で得られた深いアクセプタ密度と炭素濃度の一致は、これを直接的かつ定量的に示す結果である。 また、短時間で深いアクセプタ密度を定量できること生かし、深いアクセプタ密度のエピウェハマッピング測定を行った。窒化ガリウム2インチ1/4エピウェハ上に200点ほど測定点を設け、深いアクセプタ(炭素不純物)密度のウェハ面内分布を可視化することに成功した。今後、エピウェハレベルでの窒化ガリウム中の深いアクセプタ密度の低減に向け、異なる成長条件を有する窒化ガリウムエピウェハに対して、深いアクセプタ密度のウェハマッピング測定を行い、得られた知見を成長条件などへフィードバックする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の課題であった、窒化ガリウム中の支配的な深いアクセプタ密度の定量技術を完成させることができた。前年度に確立した方法の簡易さと正確さを損なうことなく、問題であった測定時間が長いことを克服すべく、測定時間の短縮に向けて律速過程を洗い出し、測定原理の考案及び装置の改良を行った。これにより、当初の目的であった、簡単に、高速に、正確に、深いアクセプタ密度を測定する技術を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
窒化ガリウム中の深いアクセプタ密度の定量手法を多くの試料に適応し、深いアクセプタ密度と炭素濃度・成長条件との相関をより詳細かつ系統的に明らかにする。得られた知見を成長条件などへフィードバックすることで、より高品質な窒化ガリウム中の成長に貢献する。
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