2021 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な幾何学的形状を有する金属錯体ナノチューブの創製と機能開拓
Project/Area Number |
19J23310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 健太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 多核金属錯体 / ナノチューブ / 疎水性ナノ細孔 / プロトン伝導 / 水クラスター / 固液相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属錯体ナノチューブは、環状多角形錯体をハロゲン分子で酸化的高分子化することによってボトムアップ的に合成され、一次元疎水性ナノ細孔の細孔径や形状を精密に設計できるという特徴を有する。本研究では、このボトムアップ合成法の利点を活かして、多彩な機能や幾何学的形状を有する疎水性ナノ細孔の創成および機能開拓を目指す。前年度までの研究で、申請者は超プロトン伝導性の発現を狙ってフッ素で置換基修飾した配位子を用いて環状四角形錯体を合成し、臭素により酸化的に重合して正方柱型の金属錯体ナノチューブを合成した。得られたナノチューブは、フッ素置換していないナノチューブよりも高いプロトン伝導度が観測され、ナノ細孔の表面をフッ素修飾したことによる疎水性の向上を明らかにした。 本年度は、この金属錯体ナノチューブの疎水性ナノ細孔中に包接された水の相転移挙動を詳細に検討した。示差走査熱量測定から、-170~30 ℃の加熱・冷却過程において水の固液相転移由来の吸熱・発熱ピークは観測されず、バルクの水の相転移挙動とは大きく異なることを見出した。また、温度可変固体核磁気共鳴分光測定から、水由来の信号の半値幅は連続的に変化し、疎水性ナノ細孔中に包接された水は連続的に固液相転移することが示唆された。また、フッ素置換してナノ細孔の疎水性が向上したことによる水の相転移挙動への影響を、無置換体と比較することで検討した。さらに、低温のプロトン伝導度測定を行い、固体核磁気共鳴分光測定の結果を比較することで、固液相転移に伴う水分子の運動の連続的な凍結とプロトン伝導性の間に明瞭な相関関係を見出した。本研究はナノ細孔の疎水性を制御し、細孔中に閉じ込められた水分子の静的・動的な物性を実験的に観測した初の例であり、ナノ細孔中の水分子に関する理解を深める上でこの研究のインパクトは大きいと言える。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)