2020 Fiscal Year Annual Research Report
ロボットの統合認知アーキテクチャによる実世界に根ざした言語的思考の実現
Project/Area Number |
19J23364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮澤 和貴 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 発達ロボティクス / 記号創発ロボティクス / マルチモーダル / 世界モデル / 強化学習 / 自然言語処理 / 強化学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,課題の目標であるロボットの高次認知機能(言語的思考)の実現に向けて,ロボットの統合認知アーキテクチャの構築を進めた.今年度は特に,深層学習モデルを利用したモデルの構築に関して研究を進めた. 具体的には,言語理解や言語生成で用いられるBERTやGPT-2などの言語モデルをマルチモーダルに拡張することで,ロボットの感覚情報を統合するモデルや,人の動作を予測するモデルを提案した.さらには,感覚情報の統合を行うモデルと強化学習を統合することで,自律的に行動を学習しながら,感覚情報を統合することで視覚情報に根差した言語を学習するモデルも提案した.これらのモデルにより,ベイズ統計モデルに基づいた統合認知モデルでは学習が難しかった,大規模なデータでの学習や複数のセンサ情報からEnd-to-Endでの学習を可能にした.また,提案したモデルの元となるBERTやGPT-2は,Transformerと呼ばれるネットワークを積み重ねた構造である.このネットワークでは各情報を推論する際に入力する情報の数に合わせてネットワークの重みをコピーして推論を行う.このことから,提案モデルでは,自身の経験で学習した重みをコピーして利用し,他者に関する情報を推論できる.つまり,自身の経験を基にして,他者と協調するために重要である相手の理解ができるとも言える.現在は,マルチモーダル対話タスクの実現を目指しつつ,他者と協調するための社会的機能の実現を目指している.また深層学習モデルのみでなく,ベイズ統計モデルに基づいた統合認知モデルに関しても研究を進め,学習したモデルを利用することで,言語情報を利用した計画や原因推論などができることを示した.さらに,深層学習モデルに関して,近年の言語モデルをマルチモーダルに拡張してロボットで利用するためのフレームワークの構築を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,深層学習モデルを用いたロボットの行動や言語,概念学習のためのモデルを提案し,論文や学会において発表した.また,ベイズ統計モデルに基づいた統合認知モデルに関しても研究を進め,学習したモデルを用いることで言語情報を利用した計画・原因推論が可能なことを示し,その結果を学会において発表した.さらに,実際のロボットに提案したモデルを実装する準備も進めており,実機を利用した学習と評価に取り掛かる予定である.以上により,当初の研究計画に従い,おおむね順調に研究が進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は,ロボットの高次認知機能(言語的思考)の実現に向けて,深層学習モデルを利用したモデルの構築に注力して研究を進めた.今後は,提案モデルをロボットの意思決定に関してより発展させると共に,実ロボットによる対話や協調タスクなどの学習を進め,具体的なタスクでの評価を進める.これらを実現するために,実ロボットが学習するためのデータの収集を進めつつ,ロボットが獲得した高次認知機能を特定のタスクに適応する手法に関して研究を進める.今後のコロナウイルスの状況により,実際のロボットの利用が難しくなった場合は,シミュレーションやVRシステムを利用した実験により検証することも視野に入れ研究を進める.
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