2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of exercise combined with pharmacological neuromodulation on the central nervous system after stroke
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19J23508
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 貴博 北海道大学, 保健科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 脳出血 / GABA / 運動 / 内包 / 脊髄 / 神経栄養因子 / Neuromodulation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、GABA受容体阻害薬による薬理的ニューロモジュレーションと運動療法の併用が、脳卒中モデル動物の運動機能回復と脊髄における神経栄養因子発現に与える影響を明らかにすることである。本研究課題では中大脳動脈閉塞MCAOモデルを対象に介入効果を検証する予定であったが、近年ではMCAOモデルの変動性については議論を要することから、本年度は当初の計画を一部変更し、内包損傷を伴う脳出血ICHモデルを対象とすることとした。しかしながら、脳梗塞モデルと比較すると、脳出血モデルを使用した研究は少なく、まずは脳出血後の基礎データの取得が重要であると考えた。 従って、脳出血後の中枢神経系における遺伝子発現について精査するために、雄性Wistarラットを対象に、コラゲナーゼ投与により脳出血を作成するICH群と、その対照群となる偽手術を施したSHAM群を作成し、それぞれ4週後に組織採取を行った。加えて、遺伝子発現の経時的変化を明らかにするために、脳出血前、脳出血3日後、1週後、2週後にそれぞれ組織採取する群を作成した。行動評価としてNeurological deficits score, Adhesive removal test, Cylinder test, Foot fault test, Open field testを実施し、脳出血後の機能障害を多角的かつ経時的に評価した。 その結果、げっ歯類脳卒中モデル特有の一定の自然回復は認められるものの、SHAM群と比較しICH群では脳出血後4週間にわたって行動学的な機能障害が持続するという所見が得られた。本所見は、今後の実験で介入効果を検証するにあたって脳卒中モデルとしての妥当性を担保する重要な結果であり、このモデルを使用することで薬理的ニューロモジュレーションと運動療法の介入効果を検証する際の長期的なフォローアップが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、脳卒中モデルの作成および介入に関するプロトコルの決定、予備実験の完了、生化学分析に必要な組織採取を計画していた。当初計画していた脳卒中モデルの変更の必要性が生じたものの、本年度の実験で内包損傷を伴う脳出血モデルの妥当性を確認できており、次年度に実施予定の生化学分析に使用する組織採取も完了したため、これらの計画は概ね達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の推進方策としては、まず本年度に採取したサンプルの生化学分析を中心に進め、脳出血後の中枢神経系における遺伝子発現とその経時的発現動態を明らかにする。並行して、易興奮性の導入を目的とする薬理介入の妥当性について検証実験を行い、後続の介入実験のためのプロトコルを確立する。目的とする神経活動修飾が得られない場合には薬剤の投与量やタイミングについて再考する。 上記の実験結果に基づき、内包損傷を伴う脳出血モデルに対して薬理的ニューロモジュレーションと運動療法の介入実験を行うところまでを次年度の目標とする。
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Research Products
(4 results)