2021 Fiscal Year Annual Research Report
マウス妊娠初期の胚着床・脱落膜化における小胞体タンパク質の機能解明
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19J23598
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
並木 貴文 麻布大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 着床 / 小胞体 / 脱落膜 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、新規脱落膜化因子小胞体タンパク質(Erp29)の役割について、子宮特異的Erp29遺伝子欠損マウス(Erp29 cKO)を用いて検討を行った. 昨年度までにErp29 cKOの妊孕性確認から、平均産子数が対照区(ERp29 flox/flox)の7.5 ± 2.6匹と比較して、1.5 ± 2.2匹と著しく減少することが明らかとなった(P < 0.05). また、妊娠8日目の子宮組織の一部にて胚死滅を確認したが、Erp29 cKOの胚着床部位では、対照区と同様の形態を示し、脱落膜化関連因子(Pgr、Esr1およびBmp2)のmRNA発現量に差は認められなかった. そこで、Erp29 cKOの産子数減少の原因が胎盤形成時期にあるのではないかと考え、妊娠10日目の子宮組織を採取し、形態観察および免疫組織化学を用いた解析を行った. その結果、胎盤の母体部および胎子部は、対照区と比較して胎盤の面積が減少した(P < 0.05). さらに、Erp29 cKO胎盤において、細胞増殖マーカー(MKI67)陽性細胞は減少した. 一方で、血管新生マーカー(WNT4)陽性細胞は、著しく増加した. 先行研究から過剰なWNT4は、血管障害を引き起こすと報告されている. そのため、妊娠10日目のErp29 cKO区の胚着床部位においても、過剰なWNT4の発現により胎盤内の血管が破壊され、胎子の発育遅延もしくは胚吸収が起きた可能性が考えられた. これらのことから,P4シグナルの下流に存在するErp29が胎盤形成時の子宮の生理学的な変化に重要な役割を持つことが初めて明らかにされた.これらの知見は,胚移植を介した家畜や実験動物の効率的生産やヒト生殖補助技術の改善に貢献しうると考えられる.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] マウス胚着床前後の子宮内膜におけるLIF受容体およびGp130の局在変化とその役割2022
Author(s)
並木 貴文, 寺川 純平, 唐釜 春実, 中村 さくら, 磯ヶ谷 卓, 須山 あゆみ, 松尾 和裕, 大友 茉奈, 影山 敦子, 大黒 多希子, 長谷川 嘉則, 小原 収, 伊藤 潤哉, 柏崎 直巳
Organizer
第26回 日本生殖内分泌学会学術集会
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