2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular pathogenesis of hereditary nephritis using single cell analysis and its therapeutic applications
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19J23608
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
加世田 将大 熊本大学, 生命科学研究部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | Alport症候群 / 糸球体シングルセル解析 / 糸球体シングルヌクレウス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①糸球体のシングルセル化条件の確立:これまでに糸球体でのシングルセル解析を実施した報告は2例存在するが,ともにシングルセル化時の解離処理によるストレスが原因でRNA-seqで検出することができる遺伝子の多くをストレス関連遺伝子が占めることが問題視されていた.つまり,シングルセル解析を用いてASに対する治療標的因子を探索する上では,まず糸球体の解離条件を最適化(ストレスのかからない条件の確立)することが必要であると考えられた.そこで,解離酵素,温度,処理時間に関して条件検討を行った結果,氷上での酵素処理によりストレスの軽減が可能である核を用いた解析手法であるシングルヌクレウス解析を採用した. ②解析を実施するASマウスの週齢の決定:本研究で糸球体シングルヌクレウス解析を行う目的はAS病態初期に生じる異常を明らかにすることである.そこで,各週齢で腎機能の測定及び病理の観察を行った結果,ASマウスは8週齢時に野生型マウスと比較し,2倍のタンパク尿値(mg/mg Cre)を示し,全糸球体の10-15%程度に部分的な糸球体効果病変を示した.そこで,以下の解析は8週齢のASマウスを用いて行った. ③糸球体シングルヌクレウス解析の実施及び解析:①,②で確定させた条件下でWT, ASマウスの糸球体シングルヌクレウス解析を実施した.その結果,糸球体の主要構成細胞であるポドサイト,メサンギウム,血管内皮細胞に加えて,白血球やマクロファージ等の免疫細胞を同定した.さらにポドサイトに着目し詳細な解析を行うと,ASではWTと比較し,41遺伝子の発現増加,16遺伝子の発現低下を示した.また,変動遺伝子の約半数はこれまでに本研究室で実施した糸球体bulk解析(microarray;12週齢)の結果と変動パターンが一致していたことから,これらの遺伝子は今後さらに変動が大きくなることが予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は糸球体の解離条件を確立する段階で,解離酵素の種類,温度,物理刺激等の多くの条件検討を行ったため,計画以上の時間を要した.加えて,新たな手法として氷上での酵素処理によりストレスの軽減が可能な核を用いたシングルヌクレウス解析にも取り組んだことも時間を要した一因となった.しかし,最終的には年度内にASマウスの糸球体シングルヌクレウス解析を実施することが出来たため,当初の計画通りに進めることが出来ている.得られた結果の多くは過去の糸球体バルク解析とも変動パターンが一致しているため,信頼性の高いデータを得ることが出来ていると考えられる.来年度得られる結果を含め,迅速に薬効評価に移行できるようASモデルマウスの個体作成の準備も並行して進めているため,来年度も計画通りに進めることができる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,今年度はより後期の腎病態を呈する12週齢のASマウスを用いた糸球体シングルヌクレウス解析を実施する(12週齢は野生型と比較し,約3倍のタンパク尿値を示し,約50%程度の糸球体に効果病変を呈する).8,12週齢と異なる腎病態ステージの解析結果を基に,病態進行依存的に変動する因子・経路の絞り込みを行う.その後,免疫染色を行い,タンパク質レベルでの発現変動の挙動および組織内の局在を明らかにする.これにより,治療標的因子の絞り込みを行った後に,それらの異常の是正を企図した薬効評価を実施する.継時的な採尿による腎機能パラメーターを測定するとともに,腎組織切片を用いた病理学的な解析 (PAS染色,Masson-Trichrome染色),qRT-PCRによる各種サイトカイン量の測定により,AS腎病態に与える影響を検討する.特に,AS初期病変である糸球体上皮細胞podocyteの異常に関して,podocyte (WT1) および機能タンパク質 (Nephrin, Synaptopodin) に着目した免役化学染色を行うとともに,各種糸球体硬化病変(ボウマン嚢上皮の肥厚化,メサンギウム細胞の過増殖等)に関して検討を行うことで,AS病態早期の異常に対する保護効果を明らかにする. その後,ASモデルマウスの生存率に与える影響や既存の治療法であるRAS阻害薬との相加効果を検討することで,臨床応用に向けた妥当性を検討する.
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Research Products
(1 results)