2019 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境を標的化する革新的アルブミンナノ粒子の開発と難治性癌治療への展開
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19J23629
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水田 夕稀 熊本大学, 薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | アルブミン / マンノース / 癌微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 癌関連線維芽細胞 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでの研究成果を基盤として、癌細胞/腫瘍関連マクロファージ(TAM)/癌関連線維芽細胞(CAF)に対する三重標的化担体を作製し、癌-癌微小環境を包括的に制御可能な抗癌剤DDSの開発と難治性癌治療への応用を最終目標としている。以下に、本年度の研究により得られた知見をまとめる。 1)HSAヘテロ2量体 (HSA融合化組み換え型マンノースHSA (HSA化Man-HSA)) の作製・物性評価 HSAヘテロ2量体を高発現するPichia酵母株の取得と大量培養における精製法を確立し、精製したHSA化Man-HSAの分子量及び糖鎖含有を確認した。Mannoseの露出度が異なる2種類のHSAヘテロ2量体に加えて、同様に作製したHSA及びMan-HSAのホモ2量体を加えた4種類の2量体について、物性評価 (ゼータ電位、粒子径、CD スペクトルの測定)を行なった。また、CDスペクトルの結果からも、どの2量体もHSAの構造を保持していることが確認された。 2)HSA化Man-HSA の体内動態解析 TAMを模倣したCD206高発現M2様マクロファージ細胞、CAFを模倣したCD280高発現線維芽細胞への標的性(in vitro)を評価したところ、HSA化Man-HSAはMannose依存的にそれぞれの細胞に取り込まれることが示された。さらに、癌細胞への標的性 (in vitro)の評価により、当研究で計画していた“Man-HSAにHSAを融合化することで、癌細胞への移行性を高める”ことが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当研究室で作製したMan-HSAがマンノース受容体を介してTAM/CAFを標的化可能であることを利用し、さらに癌細胞を標的化可能なHSAを組み合わせることで癌細胞/TAM/CAFに対する三重標的化担体の作製を試みている。 昨年度の研究実施状況については、Mannoseの露出度が異なる2種類のHSAヘテロ2量体 (HSA化Man-HSA) に加えて、HSA及びMan-HSAのホモ2量体を追加し融合体の作製を試みたことから、当初1年度目で計画していたin vivoの体内動態までは結果が得られなかった。しかしながら、4種類の2量体で比較して検討することで、細胞標的性や体内動態における詳細なMannose及びHSAの寄与を解析することが可能となり、2年度目に計画している癌細胞/TAM/CAF三重標的化ナノ粒子の最適化において重要な結果が得られると考えている。以上より、現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
採用の2年度目においては1年度目に引き続きHSA化Man-HSAの体内動態解析をin vivoで行い、2量体の最適化を行った後に様々なサイズのアルブミン・ナノ粒子を作製する。それぞれのナノ粒子のサイズごとに物性評価や体内動態解析を行い、薬物送達担体としての最適化を予定している。
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