2019 Fiscal Year Annual Research Report
ALMAガス観測で探る銀河団環境下での実は多様な銀河星形成抑制機構
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19J40004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸隈 佳菜 東京大学, 大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 銀河団 / 銀河進化 / 星間物質 / 星形成 / 環境効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、主に2つの近傍銀河団(おとめ座・ろ座銀河団)のデータ収集・解析を進めた。なお、解析に使ったデータは以下の通りである:CO輝線(アーカイブ/ALMAデータ、分子ガス質量)、HI輝線(アーカイブデータ、原子ガス質量)、近赤外線(The Wide-field Infrared Survey Explorer、WISEアーカイブデータ、星質量)、紫外線(Galaxy Evolution Explorer、GALEXアーカイブデータ、星形成率)・中間赤外線(WISEアーカイブデータ、星形成率)。 おとめ座銀河団(1589天体)に関しては、分子ガス・原子ガス質量情報の収集、もしくは導出が完了しており、現在はWISE・GALEXデータの測光作業を進めている(8割方完了)。 ろ座銀河団(64天体)に関しては全てのデータ収集・解析が完了した。ろ座銀河団でCOが検出されている銀河の中には比較的低質量のものが含まれているため、CO輝線光度から分子ガス質量に変換するためには、その変換係数(CO-to-H2変換係数)の金属量依存性を考慮に入れる必要がある。しかし、64天体全ての、同一方法で導出された金属量の情報は存在しないため、揃えるためには、新たな可視光分光観測が必要となる。そこで星質量・星形成率の情報から金属量を推定し、64天体の金属量依存性を考慮に入れたCO-to-H2変換係数を導出し、分子ガス質量を計算した。 2019年度に提出した観測提案としては、ALMA Cycle-7において、(1)ろ座銀河団銀河の一つであるNGC1316の分子雲スケール(~50 pc)でのCOマッピング観測、(2)エリダヌス座超銀河グループ銀河(103天体)のCOマッピング観測サーベイ、の2つで、両者とも採択された。(1)に関しては1部のデータの取得が完了しており、(2)に関しては全てのデータ取得が完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、2つ近傍銀河団(おとめ座・ろ座銀河団)に関して論文化する計画であったが、おとめ座銀河団銀河の星質量・星形成率導出方法に問題があることが判明したため、必要となるアーカイブデータの再収集・再解析を行なっている。更に、2019年末以降は、COVID-19の流行によって、利用している保育園が登園自粛・臨時休園となり、作業効率が半分以下に落ちている。
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Strategy for Future Research Activity |
近傍銀河に関して: 銀河の性質は、銀河の環境だけでなくその質量によっても異なるため、環境効果を議論する上では、まずは質量の効果を差し引く必要がある。2019年度から進めている、おとめ座銀河団の物理量の導出が完了し次第、アーカイブデータを使って、フィールド銀河の各種物理量の星質量依存性を導出する。フィールド銀河の各種物理量は、赤方偏移0.01<z<0.05のSDSS銀河を対象とした大規模なHI/COサーベイであるxGASS(Catinella et al., 2018, MNRAS, 476, 875)/xCOLD GASS(Saintonge et al., 2017, ApJ, 233, 22)プロジェクトのカタログ値を使用する。かみのけ座銀河団に関しては、おとめ座銀河団・ろ座銀河団同様のデータを収集しつつ、分子ガス・原子ガスデータは、必要に応じて新規の観測提案を行う。
遠方銀河団に関して: 世界的なCOVID-19の流行により、ALMA cycle-8(2020年度)が来年に延期され、遠方銀河団銀河の研究計画が1年程度遅れることが予想されるが、引き続きアーカイブデータを収集し、可能な限り作業を進める。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] The flickering nuclear activity of Fornax A2020
Author(s)
Maccagni F. M.、Murgia M.、Serra P.、Govoni F.、Morokuma-Matsui K.、Kleiner D.、Buchner S.、J?zsa G. I. G.、Kamphuis P.、Makhathini S.、Moln?r D. Cs.、Prokhorov D. A.、Ramaila A.、Ramatsoku M.、Thorat K.、Smirnov O.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 634
Pages: A9~A9
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Multiphase properties of ISM in a nearby radio galaxy, NGC 13162020
Author(s)
Kana Morokuma-Matsui, Paolo Serra, Filippo M. Maccagni, Bi-Qing For, Jing Wang, Kenji Bekki, Tomoki Morokuma, Fumi Egusa, Kouichiro Nakanishi, Daniel Espada, Rie, E. Miura, Baerbel Koribalski, Tsutomu T. Takeuchi
Organizer
日本天文学会2020年春季年会
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[Presentation] Multi-phase ISM properties of a nearby radio galaxy NGC13162019
Author(s)
Kana Morokuma-Matsui, Paolo Serra, Filippo M. Maccagni, Bi-Qing For, Jing Wang, Kenji Bekki, Tomoki Morokuma, Fumi Egusa, Kouichiro Nakanishi, Daniel Espada, Rie, E. Miura, Baerbel Koribalski, Tsutomu T. Takeuchi
Organizer
Subaru Telescope 20th Anniversary Conference
Int'l Joint Research