2019 Fiscal Year Annual Research Report
アマゾン上流域三国における先住民社会の変容-開発・環境・移動-
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19J40054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 麻里子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2023-03-31
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Keywords | アマゾン熱帯林 / シピボ / 地域間比較 / 森林 / 農耕 / メキシコ / マヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アマゾンの森林開発あるいは森林保全活動といった外部影響を直接に受ける先住民社会の生活・文化の実態およびその変容を、「人の移動」に着目しながら、明らかにすることである。その際に、グローバルな開発や地球環境問題といった動向に加えて、ナショナルレベルで展開される政策についても、その実態を明らかにし、地域間での比較検討を行う。また、本研究は追々、ラテンアメリカ全体に対象を広げることを視野に入れているため、アマゾン諸国に限らず、中米の農山村地域でフィールドワークを実施し、研究の相対化と同時に、分析視点の整理を行う。 初年度となる2019年度は、アマゾン諸国の行政や開発(特には森林開発)に関する文献レビューや情報収集を行うとともに、アマゾンで実施予定のフィールドワークの準備を行った。 9月10日-24日と12月19日-1月2日に、メキシコの首都メキシコシティにおいて先住民・森林・開発に関する文献収集および文献調査に加えて、ユカタン州のマヤ人コミュニティ(テルチャックプエブロ市、ペト市)においてフィールドワークを実施した。トウモロコシを主食作物とし、水源の確保が地下水脈であるという環境条件のもとに行われる先住民の農耕について調査を実施した。 今年発生したブラジルの森林火災の例から、森林資源の状態は各国の政治状況(大統領の考え方)に大きく左右されることが再認識されたが、今後は、この事例を含めて、ナショナルレベルで展開される政策の地域間比較の検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠・出産を理由に作業が滞った時期もあったが、メキシコでのフィールドワークを実施し、本研究の目的である地域間比較における分析ポイントの整理を進めることができた。「森林資源と先住民社会」について、出版予定である文献の分担執筆を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降に、アマゾンでのフィールドワークを計画しており、その準備は順調に進んでいる。だが、新型コロナウィルスの影響で、アマゾン諸国へ入国できない可能性が出てきた。渡航できなかった場合は、国内での文献調査やインターネット情報などを使った情報収集を進めることを予定している。また、「森林資源をめぐる外部者と先住民の関係」について、学会誌(『ラテンアメリカ研究年報』を予定)への論文投稿を進める。
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