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2020 Fiscal Year Annual Research Report

正常細胞と変異細胞の相互認識に関する微細構造学的解析

Research Project

Project/Area Number 19J40132
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

釜崎 とも子  北海道大学, 先端生命科学研究院, 特別研究員(RPD)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2022-03-31
Keywords細胞競合 / RasV12 / 細胞膜 / FBP17
Outline of Annual Research Achievements

がんの超初期段階において、Ras変異細胞 (以下、変異細胞とする) が正常細胞に囲まれると、変異細胞は頭頂側に逸脱・排除されるるが、この分子・形態メカニズムは不明である。本研究では、変異細胞 と正常細胞の境界を構成する細胞膜に着目した詳細な電顕解析を行っている。
今年度は、正常細胞においてmCherry-FBP17を発現した細胞もしくはFBP17をノックダウンした細胞を用いた解析から、finger-like protrusionはFBP17が集積することによって形成され、また、正常細胞においてもFBP17は変異細胞の上皮細胞層からの排除に重要であることが示唆された。これまでの結果から、FBP17は変異細胞における細胞自律的な形態制御と、変異細胞に隣接する正常細胞における細胞非自律的な形態制御の両方において機能し、正常細胞と変異細胞の境界での相互認識に重要であることが示唆された。FBP17はCdc42の下流因子の一つとして、報告されていることから、変異細胞に隣接する正常細胞におけるCdc42の活性を蛍光染色の強度により見積もった。その結果、正常細胞が変異細胞と隣接することによって、正常細胞においてCdc42が活性化されることが明らかになった。本研究により、変異細胞の正常細胞層からの排除過程において、正常細胞と変異細胞の境界で、FBP17により形成されるfinger-like protrusionを介した相互認識が行われることが推察された。正常細胞に隣接して新たに変異細胞が生じると、変異細胞から正常細胞に向かってfinger-like protrusionが形成され、それに応じて隣接する正常細胞からfinger-like protrusionが変異細胞側へ押し返す過程が存在すると推測される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は、新型コロナウィルス感染防止対策として、研究室の出入りを交替制にした時期があったため、一時的に研究活動時間を短くせざるを得ない状況であったが、論文執筆へ向けて、着実に必要なデータを蓄積して行くことができた。研究面での主な進展としては、正常細胞と変異細胞の相互認識の仕組みである、”protrusion to protrusion response” を提唱することに成功した。これは、変異細胞の自律的なfinger-like protrusion形成に呼応して、隣接する正常細胞側からもfinger-like protrusionが伸長することで、変異細胞と正常細胞の境界で、細胞非自律的なシグナル伝達が行われるという機構である。これまで、変異細胞の正常細胞層からの排除過程に関して、詳細な電子顕微鏡解析は行われてこなかったが、本研究によって、新しい細胞間相互認識メカニズムの存在を示唆することに成功した。今年度までのデータを筆頭著者論文として纏め、最終年度には、論文が受理されることが多いに期待される。

Strategy for Future Research Activity

今年度までの結果から、正常上皮細胞層からの変異細胞の排除過程においては、正常細胞と変異細胞の細胞間接着部位で、FBP17を介した相互認識が行われることが推測された (protrusion to protrusion response)。しかし、この相互認識過程によってどのような物理的・生理的シグナルが授受されるのかは不明である。そこで本研究では、混合培養下でFBP17を変異細胞側もしくは正常細胞側でノックダウンした際の影響を、質量分析もしくはRNA-seqにより探索し、また、超解像顕微鏡により細胞間接着部位の細胞膜動態も解析することにより、protrusion to protrusion responseの分子・形態メカニズムに迫る。さらに、マウスの小腸上皮細胞層にRas変異細胞をモザイク状に誘導する系 (細胞競合モデルマウス) を用いて、in vivoにおける微細構造レベルの機能解析法を確立することにより、FBP17やfinger-like protrusionが超初期がんの生体マーカーとなり得る可能性を探る。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 電子顕微鏡による細胞の三次元的・定量的可視化2020

    • Author(s)
      釜崎とも子
    • Organizer
      超異分野meetup week 2020

URL: 

Published: 2021-12-27  

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