2019 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群における臓器特異的炎症病態の解明
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19J40137
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
飯塚 麻菜 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-10-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / TCR |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome; SS)は、慢性唾液腺炎、涙腺炎を主徴とする臓器特異的自己免疫疾患である。標的臓器の導管、腺房周囲には自己反応性CD4+ T細胞の著しいリンパ球浸潤が認められ、腺房の破壊や萎縮により乾燥症状が引き起こされる。これまでに、Th17細胞のマスター転写因子であるRORγtをT細胞特異的に発現させたRORγtトランスジェニックマウス(Tg)において、自然発症のSS様病態が誘導されることを見出してきた。Tgマウス由来のCD4+ T細胞をRag2欠損マウスに移入するだけで病態が再現されることから、CD4+ T細胞が病因細胞であると同定した。本研究では、Tgマウスを用いて、これまで不明であったSSの発症機序を解明することを目的とした。 Tgマウスの唾液腺に浸潤したCD4+ T細胞 (SG CD4+ T細胞) をCD3欠損マウスに移入 (SG CD4+ T→CD3 KO) し、病態が誘導されるか否か検討した。その結果、SG CD4+ T→CD3 KOマウスの唾液腺において、T細胞を主体とする細胞浸潤が確認され、SS様の唾液腺炎を発症していることが確認された。再集積しているCD4+ T細胞をシングルセルソーティングし、TCR解析を行った。その結果、TCRのレパトアに大きな偏りが認められた。また、マウス間で共通のCDR3領域の一致が認められ、臓器特異的抗原を認識している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病変局所に集積するTCRの解析より、CDR3領域の一致が認められた。このことから、病因CD4+ T細胞が、臓器特異的抗原を認識している可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CDR3領域に偏りの認められたTCRをクローニングし、T細胞株であるTG40細胞に遺伝子導入した。現在、抗原特異性について検討するため、唾液腺組織抽出液と培養し、機能的な解析を行っている。
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