2020 Fiscal Year Annual Research Report
年齢依存的造血幹細胞特性の変化と白血病発症機構の解明
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19J40166
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森井 真理子 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 造血幹細胞 / RUNX1-ETO |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのがん研究は変異した遺伝子側の研究を中心に行われてきた。しかしながら、がん関連の遺伝子変異は細胞に対して常に発がん性を有するのではなく、形質転換受容細胞でのみ発がん能をもつことが近年示唆されている。急性骨髄性白血病(AML)の特異的な染色体異常であるRUNX1-ETO 融合遺伝子を生じるt(8;21)転座型AML は発症年齢に偏りが見られており、若年成人に多く、小児AML において頻度が高い異常であるものの、50 歳以上ではまれである。従って、RUNX1-ETO融合遺伝子は特定の年齢層の造血幹細胞でのみ白血病原性を持つと考えられるが、実験的証明はなされておらず、造血幹細胞の特性依存的ながん進展機構は未解明である。 急性骨髄性白血病(AML)でみられるt(8;21)転座は21番染色体のRUNX1 (AML1)遺伝子と8番染色体のETO (RUNX1T1, MTG8)遺伝子が融合したRUNX1-ETO融合遺伝子を生じる。RUNX1-ETO融合遺伝子は正常RUNX1の血液分化機構を障害すると考えられているものの、その年齢依存的ながん発生・進展機構については不明である。申請者は、造血幹細胞特異的に、胎児期を含む発達段階別に任意の変異遺伝子の発現誘導を可能にする独自のマウス実験系を用いて、急性骨髄性白血病(AML)の新規モデルマウスを樹立し、白血病発症の年齢依存性について実験的に証明するとともに病態の解析を行う。本研究では、造血幹細胞の特性変化に基づく白血病発症機構の分子基盤解明と治療標的の探索を目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、造血幹細胞特異的に、発達段階別に任意の変異遺伝子の発現誘導を可能にすることで、急性骨髄性白血病(AML)の新規モデルマウスの樹立に成功した。この新規モデルマウスを用いて、白血病発症の年齢依存性に着目して病態解析を行ったところ、RUNX1-ETOの誘導時期依存的な白血病の病型変化が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は樹立したマウスモデル等を用いて、白血病病態の年齢依存性に関わる候補因子に着目し、治療標的の探索を進めていく。また、RUNX1-ETO変異にはそのセカンドヒットとなる遺伝子変異が知られている。そのため、RUNX1-ETOノックインマウスを用いて付加的遺伝子変異による白血病病態・白血病進展速度への影響について解析する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] RUNX1-ETO (RUNX1-RUNX1T1) induces myeloid leukemia in mice in an age-dependent manner2021
Author(s)
Mohamed Abdallah, Akiko Nambu, Mariko Morii, Takako Yokomizo-Nakano, Tomomasa Yokomizo, Takako Ideue, Sho Kubota, Vania Teoh, Michelle Mok, Chelsia Wang, Abdellah Omar, Kenji Tokunaga, Eisaku Iwanaga, Masao Matsuoka, Norio Asou, Naomi Nakagata, Kimi Araki, Mabrouk AboElenin, Sayed Madboly, Goro Sashida, Motomi Osato
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Journal Title
Leukemia
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research