2020 Fiscal Year Annual Research Report
母子保健における通訳者のコミュニケーション介入の分析-通訳の逸脱行為に注目して-
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19J40192
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
飯田 奈美子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 対話通訳 / 通訳倫理 / 会話分析 / 対人援助コミュニケーション / 介入行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、母子保健場面における通訳を介したコミュニケーションの中で、通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為に着目して、会話分析法にて分析を行い、通訳者によるコミュニケーション介入行為がどのような相互行為によって引き起されているかを明らかにするものである。通訳者の介入行為は通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為と表裏一体であり、介入行為と逸脱行為の相違点が明確にされていない。そこで、実際の通訳場面を録画録音し、通訳者がどのように通訳をし、どのように通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為を行っているかを分析することで、通訳者の介入・逸脱行為を特定し、その生起する要因を解明していくことを目的としている。新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、調査が予定通りに行えず繰り越しし、調査をすることができた。その結果学会発表を4回、さらにその結果を研究論文として1本発表にすることができた。 本研究の意義と重要性を述べると、通訳場面を録音録画し分析することで、言語行為だけでなく視線や振る舞いなどの身体性も加味したマルチモーダルな視点で通訳を介した制度的コミュニケーションを解明する新しい方法論と分析フレームを提示することができた。このような手法の分析は国内ではあまり行われておらず、本研究が国内における先駆的研究になったと考えられる。特に、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、医療機関での生データを採取することができなかったことから、データ採取方法を変更し、模擬の医療通訳場面を設定しデータ採取を行うことができた。この調査手法はより洗練させて今後にも活用できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、計画の変更を余儀なくされたが、調査方法を変更するなどを行い、研究目的にそった調査を行うことができた。また、学会発表や論文執筆も予定通りに行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究課題の推進方策は、新型コロナウィルス感染拡大の状況を鑑みながら、調査方法を柔軟に対応させて行っていく。医療機関での調査が難しいと判断した場合は、模擬での医療通訳場面を設定しデータの採取を行う計画である。また、新型コロナウィルス感染予防対策をしっかりと行いながら調査の実施を行っていきたいと考える。
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