2021 Fiscal Year Annual Research Report
母子保健における通訳者のコミュニケーション介入の分析-通訳の逸脱行為に注目して-
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19J40192
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
飯田 奈美子 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 対話通訳 / 通訳倫理 / 会話分析 / 対人援助コミュニケーション / 介入行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、母子保健場面における通訳を介したコミュニケーションの中で、通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為に着目して、会話分析法にて分析をおこない、通訳者によるコミュニケーション介入行為がどのような相互行為によって引き起されているかを明らかにするものである。通訳者の介入行為は通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為と表裏一体であり、介入行為と逸脱行為の相違点が明確にされていない。そこで、実際の通訳場面を録画録音し、通訳者がどのように通訳をし、どのように通訳倫理や通訳規範からの逸脱行為を行っているかを分析することで、通訳者の介入・逸脱行為を特定し、その生起する要因を解明していくことを目的としている。 今年度は前年度に得たデータの分析と、模擬通訳場面を設定してデータ採取(調査)を行うことで研究を継続し、学会発表を3回、さらにその結果を研究論文として1本発表にすることができた。 本研究の意義と重要性を述べると、まず①通訳場面を録音録画し分析することで、言語行為だけでなく視線や振る舞いなどの身体性も加味したマルチモーダルな視点で通訳を介した制度的コミュニケーションを解明する新しい方法論と分析フレームを提示することができた。このような手法の分析は国内ではあまり行われておらず、本研究が国内における先駆的研究になったと考えられる。また、②本研究は、通訳実践における相互行為を解明することを目的としており、これにより通訳行為がどのような社会的秩序を形成しているかについての解明に一部貢献することができたと考えられる。通訳行為は通訳倫理の遵守が求められるものだが、通訳倫理を逸脱する介入行為の詳細な記述を行うことで、通訳倫理(正確性・中立性)自体を逆照射し、倫理的なコミュニケーションについて考える示唆を与えることができたと考える。今後も継続してこの研究課題を考えていく。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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