2020 Fiscal Year Annual Research Report
マインドフルネスによる神経性やせ症予防プログラムの開発-fMRIを用いて-
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19J40242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 智美 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 神経性やせ症 / マインドフルネス / fMRI / 感情調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:神経性やせ症(AN)患者の情動調節、内受容感覚(IA)にマインドフルネスが与える影響における脳機能変化の検討 解析、論文執筆については、脳画像データの解析を行い、結果を国際学会にて発表した。新型コロナウィルスの感染拡大防止にともなう緊急事態宣言の発出や、京都大学附属病院の規定により研究活動の一時的中断を余儀なくされたが、着実に解析を進めており、近日論文投稿予定である。 研究2:女子大学生のANハイリスク者、および発症者に対する予防プログラムの効果研究 リクルート体制の構築、倫理申請準備については、効率的な被験者リクルートに向けて、昨年度作成したリクルート用のホームページの内容を吟味、修正した。また、当該研究課題について倫理委員会申請し承認を得た。大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)への登録を行った。 その他:関連する研究として、ANにおける注意の制御困難と回避型コーピングの関連を、fMRIを用いて検討した。本研究の結果、注意の維持を必要とする課題中に、ANにおいて楔前部の活動が高まっていた。さらに心理尺度において測定された注意の制御と回避型コーピングの得点に有意な相関を認めた。これらの結果についてBJPsych Open紙に投稿した。また、International Conference of Eating Disorders (virtual) 2020のメンター制度を利用して、摂食障害の脳画像研究の権威であるコロラド大学のGuido K.W. Frank教授とオンラインミーティングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<研究1>fMRI解析の結果、感情調節の受容方略を用いている時の楔前部、及び後部帯状回の活動がマインドフルネス介入後に有意に低くなっていた。楔前部は、自己意識、記憶想起、マインドワンダリングなどに、後部帯状回は感情や回避学習に関与すると考えられている。従って、本研究の結果は、マインドフルネス介入によって、自己関連思考の減少やネガティブな感情の適切な制御が促進された可能性が考えられる。これらの結果を摂食障害国際学会であるInternational Conference of Eating Disorders (virtual) 2020にてポスター発表を行った。また、解析を更に進めた結果、マインドフルネス介入後、神経性やせ症患者において感情調節方略の内、受容条件で両側楔前部、左舌状回、両側被殻、右後部帯状回の活動が有意な低下が示された。これらの領域は自己に関連する思考や罰感受性に関わる領域であり、マインドフルネス介入によって、嫌悪刺激に対する脳機能が変化し受容的態度が促進されたことが示唆された。これらの結果について、International Conference of Eating Disorders (virtual) 2021及びAsian Cognitive Behavioral Therapy Association 2021にて発表予定である。 <研究2>京都大学医の倫理委員会への申請を終え承認を得た。また、京都大学こころの未来センターにてfMRI撮像を行うための安全講習会に参加した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1(神経性やせ症患者の情動調節、内受容感覚にマインドフルネスが与える影響における脳機能変化の検討)については、近日投稿予定であり、オープンアクセスでの掲載を予定している。 また、同じく研究1について、国際摂食障害学会、アジア人認知行動療法学会での発表を予定している。 研究2については、倫理審査を終え承認を得ている。現在、介入の質の向上を目的として、米国で開発されたマインドフルネスプログム(Mindfulness based Stress Reduction)の講師養成コースに参加中である。本年度中に実験を終え、解析及び論文の投稿を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] The effect of mindfulness meditation on emotion regulation in anorexia nervosa: an fMRI study2020
Author(s)
Noda, T., Tose, K., Mishima, R., Isobe, M., Murai, T., Noma, S
Organizer
International conference of eating disorders Virtual ICED (June 2020)
Int'l Joint Research
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