2019 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能におけるRab35の生理機能とその制御機構の解明
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19J40272
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
前島 郁子 群馬大学, 生体調節研究所, 特別研究員(RPD) (90726613)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | メンブレントラフィック / Rab |
Outline of Annual Research Achievements |
メンブレントラフィックの中心的制御因子であるRabファミリータンパク質は、輸送小胞の出芽・移動・融合を制御することで積荷因子の細胞内の適切な目的地への供給を可能にしている。60種類以上ある哺乳類のRabの中でも、Rab35は選択的リサイクリング経路の制御に加え、細胞分裂、細胞移動、アクチン重合、免疫シナプス形成など様々な機能を持つことが知られている。なかでも神経系においてRab35が神経突起伸長、神経伝達物質の放出やエクソソーム分泌など様々な神経機能に関与することが報告されている。また、近年ではRab35が癌や神経変性疾患に関与する可能性が示唆されているが、これまで哺乳動物個体におけるRab35の生理機能は明らかにされていない。そこで、本研究課題では各種神経系特異的 Rab35欠損マウスを作製・活用し、哺乳動物個体の脳構造および高次脳機能におけるRab35の生理機能とその制御機構の解明を目指す。 本年度は、Cre-loxPシステムにより作製したほぼ脳全体に渡ってRab35を欠損する中枢神経系特異的Rab35欠損マウス (Rab35flox/flox;Nestin-cre)と大脳皮質及び海馬においてRab35を欠損する前脳特異的Rab35欠損マウス(Rab35flox/flox;Emx-cre)の成体脳の組織形態と高次脳機能についての解析を行った。この2つのノックアウトマウスを用いた行動解析実験では得られた表現型に差異が認められた。このことから、Rab35が前脳以外の脳領域において高次脳機能発現に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢神経系特異的Rab35欠損マウスと前脳特異的Rab35欠損マウスの成体脳における組織学的解析と行動解析実験を概ね完了し、2系統のノックアウトマウスにおける表現型の差異を見つけられた。
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Strategy for Future Research Activity |
前脳特異的Rab35欠損マウスと中枢神経系特異的Rab35欠損マウスの表現型の差異についてさらに詳細な解析を行う。行動解析実験結果の差異との関連が考えられる脳領域について、より詳細な行動解析実験を行い、行動解析結果に差をもたらす脳の責任領域について同定を目指す。また同時に、組織構造にも影響が出ていないかをより詳細な形態観察から明らかにしたい。マクロ構造に影響が見られなかった場合は、神経伝達系異常を考え、より微細なシナプス構造等の形態観察を行う。また、特定の伝達系異常が疑われる場合は関連する薬剤投与をマウスに行い、行動に変化がないかを調べる。
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Research Products
(1 results)