2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19J40302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 和子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-01-06 – 2023-03-31
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Keywords | 前頭前野 / 学習 / オプトジェネティクス / 電気生理 / 行動薬理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々の「こころ」の進化の鍵を求め、前頭前野およびその投射領域との神経連絡に着目し、動物心理学・神経科学・電気生理学・行動薬理学・分子生理学といった多角的アプローチを通して、ヒトが持つ「高次認知機能」と呼ばれるものの原点に迫ることを目的とする。今年度は、同時に複数の神経細胞からその活動を記録することができる多電極アレイを用いて電気生理学実験を行い、国内外の共同研究者らとともに、下側頭皮質、視覚野、前頭皮質のニューロンデータをもとにスパイク列からシナプス接続を推定するための畳み込みニューラルネットワークの有用性について検討した。このように多電極アレイを脳皮質領域に埋め込むことによって大規模データの取得が可能となった近年の神経科学的アプローチは、新たな数理モデルの構築に多大な貢献をもたらすものと期待される。また、眼球運動を指標とする行動データと神経活動の関係を明らかにするため、動物の学習プロセスを解析し、ニューロンデータの情報量解析結果と照らし合わせて、視覚刺激が持つ複雑な質感に関する情報がどのように処理されているのか、認知と脳の両側面から探索を行った。その結果、行動データとニューロンデータの間には一定の相関が認められ、様々な質感が脳内の異なる情報処理メカニズムで処理されていることが示唆された。今後は、行動薬理学的実験についても、行動課題の構築とデータの集積を進めることを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスによる影響を受けながらも、感染拡大状況に応じたテレワークの導入、研究会や学会へのオンライン参加といった対応を適宜模索しながら研究活動に邁進することができた。また、そのような状況にあっても、分野や国境を超えた多くの共同研究者らと連携を深め、オンライン上で議論を重ねた結果、国際学術誌に共著論文が掲載されたほか、精力的に学会発表を行うなど、一定の成果が得られつつあると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ヒトが持つ「高次認知機能」と呼ばれるものの原点に迫るため、神経科学および電気生理学的研究を推進した。今後は、行動薬理学的研究における進捗を図り、末梢投与や脳内局所投与による仔細な検討を行いながら、分子生物学的アプローチと組み合わせることで、さらなる発展を目指す予定である。また、本研究課題が掲げる比較認知神経科学の旗のもと、ヒトの「こころ」を理解するため、その進化的起源の解明に尽力したい考えである。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Effects of different facial surface properties on neuronal activity in the temporal cortex and on discrimination learning in macaque monkeys2021
Author(s)
Kazuko Hayashi, Narihisa Matsumoto, Keiji Matsuda, Kenichiro Miura, Shigeru Yamane, Mark A. G. Eldridge, Richard C. Saunders, Barry J. Richmond, Yuji Nagai, Naohisa Miyakawa, Takafumi Minamimoto, Masato Okada, Kenji Kawano, Yasuko Sugase-Miyamoto
Organizer
日本動物心理学会第81回大会