2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J40302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 和子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-01-06 – 2023-03-31
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Keywords | 前頭前野 / 学習 / オプトジェネティクス / 電気生理 / 行動薬理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々の「こころ」の進化の鍵を求め、前頭前野およびその投射領域との神経連絡に焦点を当て、動物心理学・神経科学・電気生理学・行動薬理学・分子生理学といった多角的アプローチを通して、ヒトが持つ「高次認知機能」と呼ばれるものの原点に迫ることを目的とする。昨年度は霊長類の電気生理学的実験を通して、多点同時記録による神経活動データの解析を進めてきたが、最終年度となる本年は、ヒトの「こころ」の進化的起源の解明を目指す比較認知神経科学の旗のもと、共同研究先であった慶應義塾大学に籍を移し、齧歯類のオプトジェネティクスや行動薬理学的研究により一層注力した。まず、前頭前野が重要な役割を担う社会性について、他個体との相互作用を介したマウスの超音波発声を測定し、薬理学的操作による発声量の変化を明らかにした。また、不安や抑うつ感情などを制御する神経ネットワークに関わる前頭前野の機能に着目し、近年、即効性と持続性を有する新たな抗うつ薬として期待されているketamineの代謝物である (2R,6R)-hydroxynorketamineが学習過程に及ぼす影響を検討した。うつ病の原因は十分に解明されていないものの、遺伝的脆弱性にストレスなどの環境要因が加わると、内分泌系に変化が生じることが示唆されている。出生時に発症は見られず、環境の中で様々な経験を通して生じた行動の変容がうつとしてあらわれるとすれば、ヒトを含めた動物にとって、うつ病は一種の学習であると考えられ、頭部固定下のマウスで遅延条件づけを用いた学習と消去、再獲得における(2R,6R)-hydroxynorketamineの効果を調べた。比較認知神経科学を標榜する本研究課題において、これまで霊長類と齧歯類という異なる動物種を実験対象に多岐にわたる研究活動を精力的に展開できたことは、ヒトの「こころ」を理解する上で大いなる一歩となった。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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