2019 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ーゴルジ体を経由しないガレクチン新規分泌経路の解明
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19J40312
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山口 亜利沙 高知大学, 教育研究部医療学系, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2019-10-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガレクチン / 非古典的経路分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が独自に開発した発現HRP融合タンパク質によるEMARS法を用いてガレクチン3の分泌を司る分子群を網羅的に突き止める。 まず、ガレクチンーEMARS反応触媒酵素発現ベクターの作製のため、mCherryにEMARS反応触媒酵素であるAPEXとガレクチン3をつなぎ、さらにガレクチン3量測定のためのHiBiT TagをつないだmCherry-APEX-ガレクチン3-HiBiT発現ベクターを作製した。これをHeLa細胞に導入したHeLa WT株およびガレクチン3の糖鎖認識部位に変異(R186S)を導入したHeLa R186S株を作製した。これらを用いて、ガレクチン3の分泌量をHiBiTシステムにより測定したところ、HeLa R186S株の分泌量はHeLa WTに比べておよそ1/10の分泌量であった。よって、分泌に糖鎖が関与していることが推察されたため、N-glycan阻害剤およびO-Glycan阻害剤によって分泌が阻害されるかについて確認したが、これらの阻害剤の存在下において、分泌量は変化しなかった。 次に、HeLa WTおよびR186S株において、EMARS反応を行った。反応後、SDS-PAGEにてFuluorescein標識分子を解析した結果、両サンプルにおいて標識分子のバンドが見られ、EMARS反応が行われていることが明らかとなった。続いて、EMARS反応後のサンプルを可溶化後、抗FITC抗体セファロースにかけて標識タンパク質を精製、濃縮し、トリプシンにて消化したペプチドをLC-MS/MS質量分析を用いて解析した。その結果、16個のタンパク質がHeLa WTにおいて同定された。この中には、膜タンパク質としてAP-1 complex subunit gamma-1やSerine/threonine-protein kinase ULK2などが同定されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガレクチン3の分泌に寄与する分子を見つけるために、ガレクチン3の分泌を制御する薬剤の探索、ガレクチンとEMARS反応触媒酵素のキメラタンパク質の発現、ガレクチン3と会合する分子の同定を計画し、研究を進めてきている。これまで、ガレクチン3の糖鎖認識部位に変異(R186S)を導入するとガレクチン3の分泌が抑制されることを見出したが、complex type N-glycan合成阻害剤とO-glycan合成阻害剤の共在下ではガレクチン3の分泌量は変化しなかったことから、ガレクチン3の糖鎖認識部位に糖鎖以外の分子が相互作用して分泌を制御している可能性が考えられた。さらに、発現mCherry-APEX-ガレクチン3を用いたEMARS反応により、野生型とは会合するが、R186S変異体とは会合しない分子としてAP-1 complex subunit gamma-1やSerine/threonine-protein kinase ULK2などが同定された。現在、候補分子を順次CRISPR/Casシステムを用いてノックアウトし、ガレクチン3の分泌が抑制されるか否かを解析しており、目的に向かって着実に進捗していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定された候補分子について、CRISPR/Casテクノロジーを用いてノックアウトし、ガレクチン3の分泌が阻害あるいは抑制されるか否かを解析する。また、質量分析における同定の精度をあげるため、EMARS標識サンプルの精製法の改良を行う。さらに、改良法が確立すれば、SILAC法を用いてWTおよびR186Sの比較や、ガレクチン3の分泌を促進することがわかっているコレステロール合成・輸送阻害剤(U18666A)の投与ありおよびなしの比較などを用いて、より詳細に分泌に関わる分子の同定を行う予定である。
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Research Products
(3 results)