2019 Fiscal Year Research-status Report
善・美・正義の倫理学的解明を目指す後期プラトン哲学の存在論・認識論的探究
Project/Area Number |
19K00011
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
栗原 裕次 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40282785)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | プラトン / イデア論 / 古代ギリシアの倫理学 / 古代ギリシアの存在論 / 古代ギリシアの認識論 / 古代ギリシアの政治哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、5月に韓国・ソウル大学の朴性宇教授を招き、プラトン『国家』の「国際的政治思想」をめぐるコロキアムを開催すると共に、プラトンの政治哲学を中心テーマとする共同研究を開始した。 7月には、プラトンの後期著作『パルメニデス』を主題とする「国際プラトン学会パリ大会」に学会運営委員として参加し、本研究の課題をめぐって各国の研究者と意見交換し、とりわけ後期イデア論の問題を考察した。その成果の一部を含む"The Parmenides as a Starting Point of Plato’s Later Philosophy"という題の論文が印刷中であり、また研究を発展させて、現在「プラトン『パルメニデス』篇「移行部」135b5-137c3の研究」としてまとめているところである。 12月にはイェール・シンガポール国立大学カレッジからM・ウォーカー准教授を招き、後期プラトン哲学と関係深いアリストテレス『ニコマコス倫理学』(第1巻・第2巻)の特別講義を依頼すると共に、2013年以来の共同研究を推進した。 1月にはソクラテスの哲学と倫理学のエッセンスを一般向けにまとめ、初期プラトン哲学の今日的意義に触れた一章を含む『世界哲学史1』(共著)を出版した。 さらにプラトン後期著作の『政治家』のミュートスを解釈し、プラトンの後期政治理論の中での善や幸福、正義、神とコスモスと人間の関係の意味を探った論文「哲学と文学の対話」を執筆し、今年度中に公刊予定の『西洋古典学へのアプローチ』に寄稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の内、特に後期プラトン哲学の倫理学と存在論の研究と初期以来の探究対象である善・正義の考察を、より広い視野から見つめ直すことができている。さらに政治哲学にも展開させて研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度以降も、本研究の進め方は基本的に同じであるが、今年度は後期プラトン哲学の存在論と認識論の関係について『パルメニデス』『政治家』『ソフィスト』の読解を中心に進めていくことになる。但し、今年度計画していた外国人研究者の招聘と共同研究については、先方との連絡を密接に取りながら、次年度以降に延期する可能性も含めて慎重に考えていく。
|
Causes of Carryover |
必要としていた本が年度内に届かず、購入を次年度に先送りしたことにより、その分の使用額が次年度に回ることになったため。
|
Research Products
(2 results)