2021 Fiscal Year Research-status Report
生命倫理学前史・成立史における安楽死論とキリスト教の相剋に関する米英日比較研究
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19K00023
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| Research Institution | Ritsumeikan University |
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Principal Investigator |
大谷 いづみ 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30454507)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 安楽死・尊厳死 / 死ぬ権利 / 死ぬ義務 / ALS患者嘱託殺人 / 自殺 / コロナ禍 / トリアージ / SNS |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本課題の第3年度に当たる2021年度の研究実績として、第一に以下の2点の公刊を挙げる。一つは、COVID-19パンデミックさなかの2020年秋に行われた3回の緊急セミナーをもとにした共著書『見捨てられる<いのち>を考える―京都ALS嘱託殺人と人工呼吸器トリアージから』（晶文社）、ひとつは米独日の文献を用いた新たな調査に基づいた単著論文「歴史の忘却と連続性―語られてきたナチス「安楽死」政策とコロナ禍の現在」である。前者で申請者は、「＜間＞の生を聴く／ ＜間＞の生を語る」と題して、ポリオを例に「後遺症」「障害」という変数を用いた当事者の立場から、ワクチン開発による問題の「解決」の実際を述べた。さらに、安楽死問題を含む生老病死の言説構造を、申請者が長年取り組んできた生命倫理教育における若者の死生観の変化を踏まえて論じた。後者はナチスドイツ政権下の「安楽死」政策について、米日で第二次世界大戦中・戦争直後から、大衆誌や小説・マンガ等で一般大衆に広く語られてきた歴史的事実に基づき、現在の安楽死問題との連続性と断絶をのべたものである。
第二の研究実績として、COVID-19パンデミック下において顕在化した、反ユダヤ主義、レイシズム、優生思想、フェミニズム、貧困、差別等の交差する問題群に関して、集中的に行った資料蒐集である。ロシアのウクライナ侵攻を得て刻一刻と変化する状況下、本研究は、よりリアリティのある通時性・共時性を得たものとなっている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目に入ったCOVID-19パンデミックは、2022年5月現在、日本においては第6波から第7波に移行しており、世界的に見てもwithコロナ社会を想定せざるを得ない。2月末にはじまったロシアによるウクライナ侵攻はさらなる泥沼にはいり、「例外状態」であったはずの「日常」が「戦時下の日常」になったともいえる。
報告者は、感染症にハイリスクなため、国内外の調査出張もままならない状態が続いている。このような状況下にあって、研究調査を現状で可能な方法にきりかえ、これまでの研究成果を刊行し、国際学会を含めたいくつかの機会にその成果報告をなしえたことをふまえ、「おおむね順調に進んでいる」と自己評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
COVID-19パンデミックについては、世界的に見てもワクチンの効果にも限界がみえている。ウクライナ情勢等をあわせて鑑みるに、米英欧州等、国外の調査研究について、その重要性を認識しつつも、現地に赴いての調査は断念しなければならない。ただし「研究実績の概要」や「進捗状況の理由」で述べたように、本研究の意義はより明確になったといえる。
したがって、今後は（1）本研究の意義をより明確に現在の文脈に再配置したうえで、報告や取材の機会には積極的に成果還元の機会とする。（2）2021年度に準備した蒐集資料のデジタル・アーカイビングとそのネットワーク化を推進する。（3）時局をふまえた、柔軟で地道な研究資料の蒐集と蓄積を継続することとする。
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| Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックの拡大・継続により、昨年度、本年度に計画していた英国・米国での出張調査をはじめ、予定していた国内外の調査を実施することができなかっため、相応の残額が生じることとなった。今年度は、ウクライナ情勢も含む時局の変化を見据えながら本研究課題を現在の文脈に再配置し、今後の発展的展望を見据えて、調査の代替方法を含めた検討を行う。
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Research Products
(7 results)
