2019 Fiscal Year Research-status Report
「真理の多元論」と整合的な形而上学的立場についての研究
Project/Area Number |
19K00028
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
井頭 昌彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70533321)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 真理 / 多元論 |
Outline of Annual Research Achievements |
一橋哲学社会思想セミナーにおいて「形而上学的実在論タイプの物理主義を論難する」と題した発表を行った。そこでは、科学的実在論論争についてのここ数年の研究成果を踏まえた上で、《形而上学的実在タイプの物理主義》という立場について、従来に比してより明確な整理と規定を与えるとともに、この立場を擁護するための論証が哲学的自然主義という議論文脈において受ける制約について明確化した。加えて、従来の物理主義擁護論証がこの立場の正当化に使えないという主張を展開した。また、ドイツのボン大学にて開催された国際カンファレンスnature, technology, metaphysicsにて、"Against Metaphysically Realistic Physicalism" と題した講演を行った。そこでは、哲学的自然主義と物理主義の関係性についての解説を土台として、科学的実在論に定位した形での形而上学的実在論的な物理主義の正当化が機能不全に陥ることについての論証を展開した。また、発表内容に関して国・地域・専門分野を異にする複数の研究者たちと緊密なディスカッションを行った。なお、後者の国際カンファレンスに関連して、日本とドイツで論文集が出版される予定である。これに加えて、真理論的多元論とその形而上学的世界観についてのサーベイ作業を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サーベイの進捗はやや遅れ気味であるが、当初よりも早めに国際関連業績を出すことができる見通しであるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、真理論的多元論についてのサーベイと形而上学との関係性についての議論を深めていく。 本研究課題は、真理の多元論と形而上学的描像との関係を検討対象とし、プラグマティズムを媒介させることで両者をつなぎ合わせるという構想を立てている。当面の間は、プラグマティズムと存在論の間の関係に焦点化した上で、Kris McDaniel (2017) Fragmentation of Being (OUP) などの先行研究を中心に論点整理を行い、それらの議論蓄積を本研究課題が掲げる問題意識に着陸させるべく検討を進めていく。また、それと並行して、プラグマティズムと真理論の関係性についても少しずつ検討を進めていき、次年度以降における両主題の融合に向けた準備を整える。
|
Causes of Carryover |
参加予定だった複数の学会、研究会が新型コロナウイルス感染拡大防止対策として延期ないし中止になったため。次年度に繰り越した分については、次年度以降に延期された研究会ないし関連研究会への参加費として利用する。
|
Research Products
(2 results)