2021 Fiscal Year Research-status Report
欠如的アプローチを超える身体理論の研究:現代フランス現象学運動を中心として
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19K00029
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
澤田 哲生 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (60710168)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現象学 / 人類学 / メルロ=ポンティ / リシール / ハイデガー / クラストル |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は本事業(「欠如的アプローチを超える身体理論の研究:現代フランス現象学運動を中心として」)の最終年度であった。実績としては、書籍として一般向けの図書である『ハイデガー事典』において、「メルロ=ポンティ」に関する項目を分担執筆することで、本事業の成果を一般向けに公開した。 学会等における発表としては、5月に『知覚の現象学』公刊75周年を記念して、日本を含む世界10以上の国と地域で企画されたビデオ制作にともなうラウンチ・ミーティングで研究成果の一部分を議論した。これにより、本事業の国際的な水準を確保した。また、11月には、静岡哲学会において、マルク・リシールとピエール・クラストルの思想的関係と「空想」概念に関する発表を行った。この原稿は、令和4年度中に公刊予定である。 令和4年の年明け以降、国際シンポジウムの開催を企画していたが、新型コロナウィルスの問題、さらにはロシアのウクライナ侵攻により、海外の研究者の招聘を断念せざるをえなかった。さらに、令和3年秋に、富山大学人文学部から東北大学教育学研究科への転出(令和4年4月)が決まったことで、前者における残務処理、後者の授業準備、シラバス作成、諸々の事務手続きに多くの時間を割かざるをえなくなった。こうした事情から、当初予定していたいくつかの研究のアウトプットは断念せざるをえなかった。しかしその間に、本事業で必要となる資料、とりわけメルロ=ポンティとマルク・リシールの現象学、それに関わる研究所および論文、さらには文化人類学(レヴィ=ストロース)および政治人類学(ピエール・クラストル)の文献の読解、精査、分析は十分に行うことができた。さらに、本事業期間中に公刊を予定しているメルロ=ポンティの『ソルボンヌ講義』の翻訳もかなり進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年の年明け以降、本事業の当初の計画であった、マルク・リシールをめぐる国際シンポジウムをヨーロッパの研究者を招聘して開催する予定であったが、新型コロナウィルスの問題が解消されず、さらにはロシアのウクライナ侵攻による渡航の問題が生じたことで、断念せざるをえなかった。 また令和3年の秋に、令和4年度以降の東北大学教育学研究科への転出が決まり、この転出にともなう本務校における残務処理、新たな教育環境の構築、諸々の事務手続きに多くの時間が割かれることになった。そうした事情から、本事業の期間を1年延長することとした。 本事業全体を見れば研究は順調に進んでいるが、令和3年度に限れば、上記の事情から「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度から東北大学教育学研究科で本事業を新たに推進する。令和3年度は上記の事情により研究のアウトプットは十分に達成できなかった。ただ、研究資料の分析と精査は十分に行えたので、令和4年度は、国内外でのアウトプットを積極的に行うことで、研究を推進する。 具体的には、7月にスリジー・ラ・サール(フランス)で開催されるレヴィナスとメルロ=ポンティをめぐるシンポジウムで、本事業の研究成果を公開する。さらに、9月にヴッパタール大学(ドイツ)で開催される国際現象学アソシエーションのセミナーにおいて、研究成果を発表することで、本事業の進展を企図する。さらに、同セミナーが公刊する『現象学年報』誌に研究成果を投稿することで、研究の国際性を確保する。 さらに、令和5年の3月に、本事業が当初から企図していた、マルク・リシールをめぐる国際シンポジウムを開催することで、本事業の総括を行う。
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Causes of Carryover |
海新型コロナウィルスの問題およびロシアのウクライナ侵攻にともなう、国外旅費の支出の延期および国際シンポジウム開催の延期により、支出の次年度使用が発生した。
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Research Products
(6 results)