2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Nonideal Theory in Ethics: Toward a Unified Theory of Metaethics, Normative ethics, and Applied Ethics
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19K00034
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
福間 聡 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (40455762)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジョン・ロールズ / 公正としての正義 / 平等な政治的諸自由の公正な価値の保障 / 財産所有民主制 / アーレント / ジェファーソン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、「倫理学における非理想理論の構築」を目指すことにあるが、本年度はジョン・ロールズの正義についての構想である〈公正としての正義〉を非理想化することで、ロールズの正義構想のどの点を、どこまで、どのように我々の現実社会において実現すべきかについて考察した。 ロールズの正義に関する理論である〈公正としての正義〉が学術界に与えた影響についてはもはや説明する必要はない。では我々の現実世界に与えた影響についてはどうであろうか。ロールズと同時代の経済学・倫理学者のアマルティア・センの「ケイパビリティ理論」は、日本の外交政策の柱の一つである「人間の安全保障」という概念を精緻化・明確化するにあたって活用されており、のちに国連総会において人間の安全保障に関する総会決議が採択されるなど、我々の社会世界に現実的な影響を与えている。それに比べてロールズの正義構想は様々な概念を提示しているが、何か我々の社会に影響を与えているだろうか。もし与えていないとするならば、この両者の違いはどこにあるのだろうか。センの正義論は「非理想理論」であり、ロールズの正義論は「理想理論」であることにこの違いが存するならば、すなわち、ロールズの正義構想は望ましいものであるのだが、理想理論であるため実行することが困難である点にあるとするならば、ロールズの正義構想を現実化するためには、それを「非理想化するnon-idealize」ことが必要となる。 本研究では、修正された正義の第一原理に含まれている「平等な政治的諸自由の公正な価値を保障」を軸に、この保障はいかなる政策的な含意を有するのかについて考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際的なジャーナルに当研究課題に関わる論文("Should We Take Up the Slack?: Reflections on Non-ideal Theory in Ethics")を掲載することができ、またコロナ禍で中断されていたメルボルン大学での調査研究とDaniel Halliday氏との面談を行うことができた。またメルボルンではモナッシュ大学等でセミナーにも参加し、倫理学における非理想理論の発展に向けて大きな示唆を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、メタ・規範倫理学から応用倫理学へと研究の軸足をさらに移し、公共政策やグローバル・ジャスティス等の諸問題(気候変動、途上国への援助、移民の受入、工場畜産)に契約主義的構成主義のアプローチが有効であるのか、その可能性を探究する。
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Causes of Carryover |
2023年3月1日から3月31日までメルボルン大学およびモナッシュ大学で調査研究および研究者との意見交換を行うために前倒し支払請求を行ったが、その未使用額が生じた。また今年度も8月から一ヶ月間同大学において調査研究と研究者たちとの面談を行う予定である。
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Research Products
(2 results)