2020 Fiscal Year Research-status Report
Philosophical study of the story of the town based on the collective memory, guided by the image that appears in modernist poetry
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19K00037
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 英二 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (40316162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モーリス・ブランショ / 中性的なもの / 不在の共同体 / 友愛 / 中性的な声 / 法 / 『詩と詩論』 / 春山行夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2020年度)は、前年度から引き続き、「物語は消尽したものを救済できるか」を問う一連の研究を進め、その第4部を学術論文として公表した。 当該論文では、まず、モーリス・ブランショの「中性的なもの」の解釈においては、ジョルジュ・バタイユの共同体論を批判的に継承した「不在の共同体」を理解することが不可欠であることを明らかにした。そのため「友愛」についても考察すことにより、「私たちの間の異他性」こそが、ブランショの「友愛」であり、「不在の共同体」のエレメントであることが解明された、次に、「中性的な声」へと考察は向かい、そこで「唯一の法」という重要概念が示された。その結果、「あらゆる物語は、中性的なものの召還のもとでは、すでに法外な場である」とのブランショの言葉が次に研究されるべき課題であることが明らかとなった。 また、これと並行して、日本のモダニズム詩に関する研究を進めた。特に、フランス・シュールレアリスムなどの影響を強く受け、春山行夫を中心に刊行された前衛的詩雑誌『詩と詩論』(のちに『季刊文学』に改題、1928年9月ー1933年6月)に注目し、詳細な研究に着手した。特に春山行夫の主張する、作者の自我を捨象したフォルマリスムによる「純粋詩」の構想が如何なるものかを最新の資料も駆使して探究した。また、同雑誌同人であった近藤東の「シネ・ポエム」にも着目し、映画のシナリオ作成方法から学んだモンタージュの手法を活用した詩人の創作活動が「モダン都市」を描くことにどのように貢献できるのかを研究した。この日本のモダニズム詩関連研究は、次年度(2021年度)も継続して行うこととしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画通り、研究課題に取り組むことができている。また、研究成果の公表も順調に行うことができている。 ただし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言の発出などにより、福岡県庁及び所属大学の方針により、福岡県外への公務出張が極めて困難になり、当初の研究計画で予定していた研究資料収集の一部が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の研究計画通りに、本研究課題に取り組む。 一部滞っている研究資料収集については、研究上協力関係にある東京、京都などに在住の研究者の助力を仰ぐなどして、福岡県外への公務出張が当面再開できない場合でも、本研究課題の推進に悪影響が出ることのない方策を講じることとする。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた海外文献の刊行が延期されたため。
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