2020 Fiscal Year Research-status Report
ドローン兵器の是非に関する戦争倫理学的研究―〈必要性〉条件からの分析と評価
Project/Area Number |
19K00045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松元 雅和 日本大学, 法学部, 教授 (00528929)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦争倫理学 / ドローン / 必要性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非対称戦争においてドローン兵器を使用することの道徳的是非を、〈必要性〉に照らし合わせて分析・評価することである。令和2年度は、前年度に引き続き、正戦論における〈必要性〉条件を動態的に分析し、それが交戦者の能力に応じてどのように変化するかを明らかにするとともに、交戦能力の顕著な格差をもたらす今日の技術革新が、〈必要性〉の観点から道徳的にどう評価されるかを論証する研究に着手した。具体的には、国家間戦争における〈必要性〉条件の適用例として、緊急事態の閾値設定とその妥当性を批判的に検証した。また、非対称戦争における〈必要性〉条件の適用例として、交戦者の能力差が交戦規則の不平等適用にどう影響するかを明らかにした。その成果の一端として、1)「非対称戦争における戦争倫理――必要性条件の分析と適用」『思想』1155号(2020年7月)、44-60頁、2)"Amoral Realism or Just War Morality? Disentangling Different Conceptions of Necessity," European Journal of International Relations 26/4 (December 2020): 1084-1105を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、非対称戦争においてドローン兵器を使用することの道徳的是非を、〈必要性〉に照らし合わせて分析・評価することである。令和2年度は、正戦論における〈必要性〉条件を動態的に分析するとともに、交戦能力の顕著な格差をもたらす今日の技術革新が、〈必要性〉の観点から道徳的にどう評価されるかを論証する研究に着手した。その結果、たとえ最高度緊急事態においてこの種の戦争法規違反に訴える免罪の余地を原理的に認めるとしても、その余地は実質的には非常に限られること、それゆえ、非対称戦争のもつ構造的側面を注視してもなお、必要性の観念から区別(非戦闘員保護)原理に根本的な変更を加える決定的な理由は見出せないということが明らかになった。これらの研究成果を通じて、本研究の当初課題の達成に向けた知見のひとつを得ることができた。その一方で、感染症問題により、本研究の成果を国際会議で発表するという予定が達せられておらず、令和3年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の課題は、前年度に引き続き、交戦能力の顕著な格差をもたらす今日の技術革新が、〈必要性〉の観点から道徳的にどう評価されるかを論証することである。また、前年度より持ち越しとなった、本研究の成果を国際会議で発表するという予定を実施するとともに、学会報告で得られた修正点を踏まえ、英語論文を執筆し、実施期間内に英文査読誌に投稿する計画である。ただし、現段階では海外渡航できるか未定である。
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Causes of Carryover |
理由としては、感染症問題により本研究成果を国際会議で発表する予定が持ち越しとなったからである。あくまでも今後の終息状況に依存するが、令和3年度に国際会議の発表を実施する計画である。
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