2021 Fiscal Year Research-status Report
わが国における歯科医療倫理学の構築のための総括的研究
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19K00049
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
樫 則章 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40194766)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯科医療倫理学 / プロフェッショナリズム / 動画による学修教材 / 倫理的検討事例 / 抜去歯の教育・研究利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
治療のために抜去された歯(抜去歯)の教育・研究利用に対する患者(又は代諾者。以下「患者等」という)からの同意取得の各国の状況について文献調査を行った上で、暫定的に以下のような提案をまとめた。1.教育利用 1)医療廃棄物として集められる前に、齲蝕のない歯や智歯などの特定の歯の提供を受け、完全に匿名化する場合:どこでどのように保管され、どのような教育にどのように利用されるのかについて概要を患者等に文書で説明し口頭で同意を得て、診療録にその旨記録する(個別同意)。2)医療廃棄物として集められた後から教育利用する場合:どこでどのように保管され、どのような教育にどのように利用されるのかについて概要をホームページ及び院内で公開し、患者等に拒否する機会を設ける(オプト・アウト)。2.研究利用 1)特定の研究に必要な歯について抜去後直ちに提供を受ける場合:患者等に文書により説明し文書により同意を受ける(個別同意)。2)医療廃棄物として集められる前に、あらかじめ研究目的を特定しないで抜去歯の提供を受け、完全に匿名化する場合:どこでどのように保管され、どのような研究に利用されうるか(DNAの抽出や細胞株の樹立は行わないことについては明記する)、また研究利用されるときは、倫理審査委員会の承認と機関の長による許可を得ることを患者等に文書で説明し、口頭で同意を得て、その旨診療録に記載する(個別同意)。3)医療廃棄物として集められた後から研究利用する場合:どこでどのように保管され、どのような研究に利用されうるか(DNAの抽出や細胞株の樹立は行わないことについては明記する)、研究利用される場合は倫理審査委員会の承認と機関の長による許可を得ることをホームページ及び院内で公開し、患者等に拒否する機会を設ける(オプト・アウト)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は計画上の最終年度として、歯科医療倫理に関する動画による学修教材の制作を予定していたが、新型コロナのために、撮影そのものが実施できなかった。また抜去歯の教育・研究利用について関連学会参加者を対象にワークショップを開催して、本科研費による提案について検討することも予定していたが、学会そのものがオンラインになったためにそれも実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の新型コロナの流行次第であるが、2022年度中に、歯科医療倫理に関する動画による学修教材の第3弾をぜひ完成させる予定である。また抜去歯の教育・研究利用についてもオンライン開催の学会を通じて、関係者の意見を聴取しながら最終提案をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナにより、歯科医療倫理に関する動画による学修教材の制作ができなかった。2022年度はこの動画の制作に使用予定である。
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