2020 Fiscal Year Research-status Report
日本・英米との比較から見たフランス現代哲学の主体・人格概念(愛・性・家族を軸に)
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19K00051
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (80552207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 真生子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40580163) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フランス近現代哲学 / 主体性 / 人格性 / 愛 / 性 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
刊行物としてはごく短い報告文が一つしかなかったが、他方で、研究発表は8つ、ベルクソン研究を5つ、主体性・人格性概念に関わる結婚の脱構築を2つ行なった(あと一つは、新機軸で「かゆみ」に関するものだが、これも主体性・人格性に関わる)。コロナ禍での研究活動としては健闘したほうではないかと考える。例えば、発表①では、ベルクソンにおけるリズムの問題から主体性・人格性に迫った。発表③では、「分身と分人――哲学と文学のあいだで」と題して、18世紀のフランスの作家レチフ・ド・ラ・ブルトンヌや、現代フランス哲学のドゥルーズにおける主体性・人格性を「分人性 dividuality」の観点からを取り上げた。発表⑤では、「結婚の脱構築――ヘーゲル、キルケゴール、マルクス」という近代的結婚観の完成から動揺に至る流れを概観し、発表⑥では、日本の映画監督・是枝裕和の最近のPVにも触れつつ、「触覚をめぐる最近の哲学的考察(デリダ、伊藤亜紗)」を概観し、とりわけ「痒さ」という点から主体性・人格性の問題を考えようとした。発表⑦では、ベルクソンとハイデガーをめぐる共通の思考の構えとして、図式論や生命をめぐる問いがあることを指摘し、発表⑧では、英米哲学における人格の同一性の議論を概観し、とりわけ中でもパ―フィットとベルクソンの人格概念を接合しようと試みた。まだ刊行されていないが、2021年度に刊行予定の仕事として、①ベルクソン講義録(続編)の刊行、②スピノザ研究書の書評、③ベルクソン講義録書評会での発表、④ベルクソンにおけるリズムに関する研究論文、⑤ベルクソン左派の政治的思考に関する英語論文、⑥ベルクソン研究の単著などを2020年度に進めていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で様々な仕事に支障をきたした(大学での教育環境の変化への適応、学会などの中止・延期に伴う研究の遅滞)割には、なんとかその中で出来ることはやったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に比べれば、今年度はウィズコロナの教育・研究体制が(現時点では)比較的確立したと言え、研究の進捗状況の改善が期待される。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定されていた国際研究集会を開催することができなかったため。次年度は対面・遠隔両方での対応を考慮しつつ、開催する予定である。
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Research Products
(9 results)