2021 Fiscal Year Research-status Report
日本・英米との比較から見たフランス現代哲学の主体・人格概念(愛・性・家族を軸に)
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19K00051
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
藤田 尚志 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (80552207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮野 真生子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40580163) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス近現代哲学 / 主体性 / 人格性 / 愛 / 性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベルクソンに見られる主体・人格概念の「響存」性を、一方では彼自身の講義録を翻訳するなどテクスト内在的に詳細に探究し(③、⑥)、他方では現代時間哲学の観点から(①)、リズム概念の観点から(論文②)、社会思想家ソレルとの比較から(④)考察した。単行本がようやく刊行の見通しとなったのが一番大きい(⑤)。次に、先にも触れたコレージュ・ド・フランス講義録の翻訳もようやく3年の準備を経て刊行できる(⑥)。出版物として言えば、著書が1つ(⑤)、論文が4つ(日本語が2つ②③、英語が1つ④、共著・日本語が1つ①)、口頭発表が5つ(すべて単独。日本語が2つ、英語が3つ)。出版物の詳細を記せば、①平井靖史・青山拓央・岡嶋隆佑・藤田尚志・森田邦久「ベルクソンと現代時間哲学(上)」(共著論文)、『人文論叢』(福岡大学人文学部)第53巻第2号、2021年9月、495-528頁。②「リズムの哲学がベルクソンに負うもの」 『フランス哲学・思想研究』第26号、2021年10月、61-72頁。③「「大いなる生の息吹…」ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』における呼びかけ・情動・二重狂乱(下)道の途中:二重狂乱と政治」、『仏語仏文学研究』(東京大学仏語仏文学研究会)、2022年3月刊行予定、第55号、229-246頁。④「Diremption and Intersection: The Violence of Language in Bergson and Sorel」、Parrhesia: A Journal of Critical Philosophy 2022年春に公開予定。⑤『ベルクソン 反時代的哲学』 勁草書房より2022年春に刊行予定。⑥平井靖史・天野恵美里・岡嶋隆佑・木山裕登との共訳『1903‐1904年度コレージュ・ド・フランス講義 記憶理論の歴史』、書肆心水より夏ごろ刊行予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的はフランス現代哲学における主体性・人格性を、とりわけ愛・性・家族に関して探究するところにある。フランス現代哲学の根幹に位置するベルクソン哲学における主体性・人格性の問題を深く探究できたという点、またきわめて実り豊かな研究成果を公表できたという点で、研究はおおむね順調に進展していると考えるが、コロナ禍で予定していた国際シンポジウムを開催できず、未執行額も多額に上ったという点ではやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的はフランス現代哲学における主体性・人格性を、とりわけ愛・性・家族に関して探究するところにある。フランス現代哲学の根幹に位置するベルクソン哲学における主体性・人格性の問題を深く探究するという課題に関しては一定程度クリアできたので、新たな科研費プロジェクトに採択された今、次のフェーズに進んで行かなければならないと感じている。それは「愛・性・家族の形而上学とその脱構築」というプロジェクトに本格的に着手するというフェーズである。これに関しては、三年後に著作の形で成果を公表できればと考えており、慶應義塾大学出版会から刊行される予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で計画の実施に変更が生じたため。次年度は冬に国際シンポジウムの開催を計画している。
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Research Products
(11 results)