2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Amnayamanjari based on Sanskrit-Tibetan bilingual Codex
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19K00055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊谷 竜太 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50526671)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アームナーヤマンジャリー / アバヤーカラグプタ / サンプトーバヴァタントラ / インド密教 / ラトナーカラシャーンティ / カマラナータ / ムクターヴァリー / ラトナーヴァリー |
Outline of Annual Research Achievements |
アバヤーカラグプタ(11世紀頃)の密教百科事典的注釈書『アームナーヤマンジャリー』第1章の校訂・訳注作業を継続的に進めている。一昨年度までに全体の半分ほどの作業を終え、昨年度までに三分の二まで作業を進めてきた。第1章・冒頭部分の要義内容からうかがえるように、第1章は『アームナーヤマンジャリー』ないし根本聖典である『サンプトーバヴァタントラ』全体の説示内容を総括する性格をそなえ、アバヤーカラの他の著作『ヴァジュラーヴァリー』や『ムニマターランカーラ』などを特徴づける著作間における相互補完的性質を同一著作内における第1章と他の章のあいだにも見出すことができる。このような『アームナーヤマンジャリー』の性格を踏まえたうえで、並行箇所について全体の構造とともに可能な限り可視化できるように準備を進めている。具体的な作業にあたっては同書の下敷きとなったと考えられるラトナーカラシャーンティ・カマラナータの著作に加え『秘密集会』ないしサンヴァラ諸流派の著作についても精査し、得られた情報を可能な限り反映させるように努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者はこれまでハンブルク大学アジア・アフリカ研究所に定期的に渡航・滞在し、現地の研究協力者のもと『アームナーヤマンジャリー』の研究に従事してきた。しかしながら2020年に発生した世界的パンデミックの影響により、オンラインで海外の協力者と密接な連携は取りつつも、基本的に国内での研究に従事せざるおえなくなった。渡航困難な状況はいまだ改善されておらず、ハンブルクを拠点に海外の研究機関を訪問し集めてきた資料にも直接アクセスできない状態が続いており、一部で作業の遅れを生じることになった。したがって当初予定していた作業の再構築とスケジュールの見直しを行い、計画変更に関する作業についてはすでに完了し、あらたな計画にもとづいて作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
『アームナーヤマンジャリー』第1章の校訂・訳注作成にあたって、研究協力者であるハンブルク大学のハルナガ・アイザックソン教授とは現在もオンラインで定期的に連絡を取っており、得られた助言をもとに残された三分の一の部分の校訂・訳注部分について作業を進めていくとともに、これまで用意した原稿の修正・改善をも並行して行っていく。以上の作業と並行して、第1章に書かれている同書の主題・内容・目的などがどのような構造をもち、『アームナーヤマンジャリー』全体の構造とどのように関わっているのか可能な限り可視化するように努める。そのために上記に記した同書に先行する注釈書の内容をあわせて提示するとともに、根本聖典たる『サンプトーバヴァタントラ』ないしインドラブーティ・ヴィールヤヴァジュラ注の内容をも視野に入れて精査を行う。
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Causes of Carryover |
2020年に発生した世界的パンデミックによって、研究計画において予算の多くを占める旅費の執行が困難となり、渡航をはじめとする研究の基本計画を変更したことによって次年度使用額が生じた。これについては従来予定していた研究計画の内容を変更し、再構築をすでに行った。具体的には本年度の渡航期間を延長することによって予算の計画的執行を予定している。
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Research Products
(8 results)