2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Amnayamanjari based on Sanskrit-Tibetan bilingual Codex
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19K00055
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
菊谷 竜太 高野山大学, 文学部, 准教授(移行) (50526671)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アバヤーカラグプタ / 『アームナーヤマンジャリー』 / 『サンプトードバヴァタントラ』 / プトゥン / 『サンプタ広注』 / 密教注釈文献 / 梵蔵バイリンガル写本 |
Outline of Annual Research Achievements |
インド仏教最晩期に活躍した学僧アバヤーカラグプタ(11世紀頃)によって著された密教百科事典的注釈書『アームナーヤカルパドゥルマンジャリー(口伝としての如意樹の花房)』Amnayakalpadrumanjari(AM)・第1篇の校訂・訳注研究を通じて、インド・チベット密教註釈文献がもつ基本的性格を明らかにすることが本研究の主目的であった。 基本的資料として、近年発見されたAMの梵蔵バイリンガル写本にもとづき、サンスクリット原典とチベット語訳のバイリンガル校訂テクストならびに訳注を制定することがもっぱら研究の中心であるが、さらにシャル寺の碩学プトゥン・リンチェントゥプ(1290-1364)の「サンプタ広注」Samputa'i rgya cher 'grel ba(SG)も射程に入れ、インド密教注釈文献をもとにチベットにおける注釈文献がどのように形成されたかも明らかにしようとするものである。すなわち、AMとSGとはともに「広注(tika)」と呼ばれる注釈カテゴリーに属しているが、この注釈ジャンルが注釈対象である聖典『サンプトードバヴァ』Samputodbhavaといかなる関係にあるのかも含めて、注釈の成立状況からインドあるいはチベットにおける密教を中心とした仏教徒たちの具体的な実像の解析を進めてきた。 最終年度となる2023年度については、それまでの作業をとりまとめ、暫定的ではあるものの、当初予定していたAM第1篇の梵蔵校訂テキストと訳注とを制定し終え、一部についてはすでに出版した。さらにSGについても、第1章第1篇前半の翻刻と暫定訳は終えており、こちらも一部は出版した。今後はAMの残りの部分に加えて、SGの出版を目指したい。
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