2022 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive study of the "Dark Ages" in medieval Tibet and the second diffusion of Buddhism based on new sources
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19K00059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井内 真帆 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90514323)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チベット / 仏教 / 写本 / 文献 / 中世 / 後伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、昨今続々と発見または出版されている出土地や所蔵先は異なるがほぼ同時代の4つの文献群(【文献群 A】ダライ・ラマ 5 世の秘蔵書(9ー 17 世紀)、【文献群 B】ポタラ宮殿所蔵文献(11 世紀以降ー?)、【文献群 C】 西チベット・プリ文献(10ー14 世紀)、【文献群 D】カラホト(黒水城)出 土文献 (11ー15 世紀))の調査研究と文献群の比較研究により、国内外のチベット史研究の中で最も手薄である9 世紀から13 世紀の時代について研究を行うための基盤作りを行うことである。 2022年度も引き続きコロナウィルスの感染拡大の影響で当初予定していたチベット地域への渡航調査は全く行えなかったが、Harvard UniversityのDepartment of South Asian Studiesでの成果発表、同じくアメリカのBuddhist Digital Resource Center(BDRC)での調査を行い、コロナ禍以来、はじめての海外での発表と調査を行うことができた。また、6月には、文献群Aに関する研究を行っている国内の研究者を集めてシンポジウム「カダム派文献に対する研究のこれまでとこれから」を主催し、2月にはBDRCの研究者を招いて講演会も主催した。 そのような中、2022年度の成果としては、主催したシンポジウム(6月)において文献群 Aに含まれる歴史文献の概要について発表を行い、また第16回国際チベット学会(7月)においては文献群CとDの比較について口頭発表を行った。また、全ての文献群の背景となるポスト帝国期または分裂期といわれる時代(9 世紀から13 世紀)についての日本における研究史についての発表を行った(3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではチベット自治区、四川省成都、ロシアサンクトペテルブルクなどでの新出文献に関する文献調査及び情報収集が不可欠であり、また関係の研究者との情報交換も必要であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響があり引き続きチベット地域及びロシアへの渡航はできず、研究が予定通りに進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究にはチベット自治区での文献収集及びロシア・サンクト ペテルブルクのカラホト出土のチベット語文献に関する渡航調査が必要不可欠である。中国への渡航については、2023年3月より実質可能となっており、2023年度は調査研究の進展が期待される。一方、サンクトペテルブルクのコレクションのほうは、ロシアの政治情勢により調査が不可能であるが、関係の研究者と連絡を取りながら進めることとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で海外への渡航調査に加え、国内学会や国内での打ち合わせの多くが中止になったりオンラインになったため、当初予定した旅費が支出ができなかった。
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