2022 Fiscal Year Annual Research Report
Bhakti and Jain Medieval Literature: the Formation of Old Gujarati Literature
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19K00060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山畑 倫志 北海道大学, 高等教育推進機構, 講師 (00528234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジャイナ教文学 / 古グジャラート文学 / ジャイナ教聖者伝 / ラーソー / ネーミナータ / 尊像崇拝 / 葬送儀礼 / クリシュナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中期インド語によるジャイナ教文学がどのような経緯を経て近代インド語による英雄物語やバクティ文学へと変わっていったのかを探ることを目的とする。 最終年度は12世紀から13世紀にかけての古グジャラート文学作品の発生と流行について、従来プラークリット諸語による文学作品を担っていたジャイナ教徒たちが、グジャラート北部においてその活動を保護していた王権の縮小に応じて、より小規模な保護者が複数存在するグジャラート南部へと移動し、移動先地域の実態に適合した文学活動を行った可能性について検討した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は、まず、ジャイナ教聖者伝の主要人物について、ジャイ代表的な人物の取り上げられ方の変化を取り上げ、ジャイナ教団の質的変化との関係を論じた。次に、聖者伝とジャイナ教団の関係についてはジャイナ教団の性質の変化、つまり新たな共同体である「ガッチャ」への変化を題材として、聖者伝文学の変化との関係を示した。また、ジャイナ教尊像崇拝儀礼について、尊像崇拝儀礼は古い時代から実施されてきたが、聖地巡礼の流行と同時期にジャイナ教の重要な儀礼として再定義されたと推測することができることを検討した。 そして、聖者伝については、北インドのグジャラート地域に着目し、ギルナール山などの主要な聖地が信仰対象として発展する過程の背景について検討した。政治状況の移り変わりによって、ジャイナ教団が変化し、ジャイナ教文学が長大な聖者伝文学から、様々なテーマを扱い、形式は歌謡に近いラーソー文学やバーラーマーサー文学に変化していくことを示した。 12-13世紀のジャイナ教聖者伝と14世紀以後の聖者伝との関係については、17世紀のジャイナ教出家者であるアーナンドガンの伝記を取り上げ、バクティ信仰や聖像崇拝拒否の運動の影響を受けながらも、聖者伝の伝統が引き継がれていることを示した。
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