2019 Fiscal Year Research-status Report
Formation and Development of the Knowledge base in the Last Period of Indian Buddhism
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19K00062
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学知基盤形成 / インド仏教最後期 / ヴィブーティチャンドラ / アバヤーカラグプタ学統 / ウドゥヨータ / アーリヤデーヴァ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題は、12世紀というインド仏教衰退の兆しが顕著になっていた時期、いわゆるインド仏教最後期に焦点を当てて、学僧たちの著作に見る文証として引用に基づき、学僧たちの知識基板の形成と展開を解明することを目的としている。インド仏教最後期に活躍したアバヤーカラグプタとその弟子筋の学統を研究対象としている。初年度である当該年度は、アバヤーカラグプタの孫弟子にあたるヴィブーティチャンドラの著作『ウドゥヨータ』の校訂テクスト作成への下準備(写本など資料蒐集・関連文献の精査)をおこないながら、テクスト作成とその内容理解のための翻訳(英訳)に着手した。同著作は全14章であるが、第2章まで校訂テクストおよび英訳(下訳)を作成した。また、このテクストを電子データ化するためのTEIガイドラインに準じたXMLマークアップも同時におこなっている。 さらに、ヴィブーティチャンドラの『ウドゥヨータ』にもアーリヤデーヴァの著作として引用されている文献(文献名は不明)のサンスクリット写本(NGMPP B31/6所収)に関する論文を刊行した。これは、最初のおよそ19偈のみ現存する文献であるが、10世紀以降の学僧たちに無視できない影響を及ぼしていることが、様々な学僧たちの著作に文証として引用されていることからわかる。このように、ヴィブーティチャンドラが文証とする関連文献の研究も同時におこなっており、多少であるが、当時の知識基板を浮き彫りにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該科研プロジェクトの主たる研究対象である『ウドゥヨータ』に関連する写本などの資料蒐集は概ね終了しており、校訂テクストおよび英訳(下訳)も既に着手している。さらに、アバヤーカラグプタ学統に連なる学僧たちの知識基板として考えられる著作の研究もおこない、論文も刊行している。『ウドゥヨータ』は全14章で構成されているので、もう少し校訂テクストおよび英訳作業のスピードアップをする必要があるが、概ね研究計画通り順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該科研プロジェクトの2年目は、主たる研究対象である『ウドゥヨータ』の校訂テクストおよび英訳を進めていく。また、『ウドゥヨータ』の著者ヴィブーティチャンドラと関係する学僧たちであるアバヤーカラグプタ、ラトナラクシタ、シャーキャバドラなどの学僧たちの著作内に文証として引用されている文献、文章を精査し、ヴィブーティチャンドラの知識基盤の、延いてはアバヤーカラグプタ学統の知識基板の形成と展開を見据えて、研究を進めていく。
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