2022 Fiscal Year Annual Research Report
Formation and Development of the Knowledge base in the Last Period of Indian Buddhism
Project/Area Number |
19K00062
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学知基盤形成 / インド仏教最後期 / ヴィブーティチャンドラ / アバヤーカラグプタ学統 / シャバレーシュヴァラ / プラクリティシッディ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該科研プロジェクト目的は、インド仏教衰退が顕著になった12世紀、いわゆるインド仏教の最後期を中心に、その時期に活躍した仏教学僧たちの著述活動に 見られる文証としての引用に基づき、彼らの知識基盤の形成とその展開を解明することにある。特に、インド仏教の最後期の最も著名な学僧であるアバヤーカラ グプタとその弟子筋の学統を研究対象としている。 今年度は、新たに発見された写本に収録された12世紀に作成されたであろう文献、シャバレーシュヴァラ著『プラクリティシッディ』の研究に従事した。このシャバレーシュヴァラという人物は、当該科研のメインテーマに関わる学僧の一人ヴィブーティチャンドラとの関係がある人物であり、インド仏教終焉期に活躍したと考えられる。『プラクリティシッディ』の校訂テクストおよびその訳註の作成をおこなった。『プラクリティシッディ』とは、「本性上、[成仏が]成就する」という意味である。すなわち、父母から生まれた自身(行者)が、今世において、成仏する可能性について説かれており、言わば、インドにおける即身成仏思想といえる。こうした思想は、インド仏教、なかんづく、密教において、古くから説かれてきたが、当該文献が著されたインド仏教終焉期においても、重要であったことは、その他の同時代の文献からも伺える。 今年度の成果としては、当該文献が収録されているスコイエン・コレクションのネパール写本(写本番号M2170)の収録文献について、日本密教学会において、発表し、当該学会の発行する『密教学研究』に論文を投稿した(現在印刷中)。さらに、つづけて、校訂テクストおよび訳註は出版のため準備中である。
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