2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00073
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石井 真美子 立命館大学, 文学部, 教授 (40533154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 貴 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20838065)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国古代思想 / 出土文献 / 中国古代兵書 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2014年より継続して行っている『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』(文物出版社、2010年)の訳注作業をすすめた。訳注作業にあたっては、既存の文献のほか、今回導入した「佚書合編」データベースなどを利用し、研究代表者の石井真美子と、研究分担者の山内貴、研究協力者の村田進とでそれぞれ書き下し・注釈・現代語訳の原稿を1か月に1度程度持ち寄って討論し、原稿を作成した。『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』はその内容によって、「論政論兵之類」50篇・「陰陽時令占候之類」12篇・「其他之類」13篇に分けられている。そのうち、43「聴有五患」篇・44「徳在民利」篇・45「十陣」篇の訳注を、「『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』訳注(九)」として中国芸文研究会の学術誌『學林』の第68号(2019年5月発行)に掲載した。また、46「十問」篇・47「略甲」篇・48「万乗」篇・49「富国」篇・50「三算」篇の訳注を同誌の第69号(2019年11月発行)に「『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』訳注(十)」として掲載した。これで「論政論兵之類」に分類された篇の訳注は終了した。これらはすべて現在に伝えられていない佚篇であり、中国古代の戦国時代~前漢にかけての軍事思想、治国思想を知る上で貴重な書である。また訳注作業において、戦国時代の多くの書との関連を見出し、注釈として付し、今後の諸子書研究に寄与することができた。これらの訳注は2020年度に一冊にまとめて出版する予定である。 さらに、研究代表者の石井は『立命館文学』第664号(芳村弘道教授退職記念論集)で「銀雀山漢簡「将義」篇に見る将の要件」と題した論文を発表した。これは2017年に「『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』訳注(五)」(『学林』第64号)で発表した「将義」篇訳注の補足として、篇中に述べられる将軍にもとめられる要件を分析し、そこから窺える社会背景を論じたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたように訳注作業を進めることができ、目標であった「論政論兵之類」50篇の訳注を終わらせることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで発表した『銀雀山漢墓竹簡〔貮〕』「論政論兵之類」50篇の訳注をまとめ、修正を加えて一冊にまとめ、出版する。また、引き続き「陰陽時令占候之類」の訳注を進めていく。変更はないが、研究を遂行する上で、新たな出土文献の情報をできるだけ早く取り入れて修正・見解を加える必要があり、情報の獲得が課題である。
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Causes of Carryover |
2019年度は当初購入する予定であった書籍の出版が遅れて未刊行であること、大学の雇用の都合で研究分担者として村田進氏に入ってもらえなかったこと等で直接経費の余剰が出た。2020年度はその分を今回分担者として追加した村田氏に割り当てるのと同時に、新たに出版される予定の書籍や、訳注を出版する際にかかる費用に充てる予定である。
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