2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19K00078
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
平瀬 直樹 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (10283087)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 本泉寺 / 医王山 / 金沢 / 宝満山 / 大宰府 / 一向一揆 / 二俣 / 若松荘 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主として①大内氏領国のうち九州＜山岳寺院＞の社会的機能、②北陸の＜山岳寺院＞と一向宗の関係という２つの方面で調査・考察した。
①について、九州歴史資料館の特別展「九州山岳霊場遺宝-海を望む北西部の山々から-」に触れることによって、筑前の＜山岳寺院＞の社会的機能について理解を深めることができた。
中世の大宰府は、古代と異なり、宝満山や四王寺山などの＜山岳寺院＞を周囲にめぐらせた都市プランに変化しており、大宰府の在庁官人と＜山岳寺院＞との協調と対立の中で地域権力が形成されていることが予想できる。これら＜山岳寺院＞は、単に修験者（山伏）の行場であるだけではなく、竈門山寺のように天台教学の拠点で地方権門であったと考えられる。ただし、筑前の＜山岳寺院＞は中世後期には衰退していたので、博多を支配しようとした大内氏との関係の解明は容易ではないであろう。
②について、加賀北部において、石川・富山両県の県境を成す医王山系の＜山岳寺院＞の展開と一向宗勢力の伸長との関係を考察した。2021年度は、金沢市田上公民館による地名調査の報告書『一三〇〇年 田上郷と若松荘の地名・字名 ～未来へ～ 田上・杜の里校区の地名・字名のいわれ』、金沢市による真宗関連史料調査報告書『本龍寺史料・本泉寺史料』があいついで公刊され、加賀一向一揆の中核の本泉寺の実態を知る上で貴重な情報が増えた。
本泉寺は、有名な長享の一揆（1488年）の前年に、医王山系にある二俣から、金沢の平野部の東の入口である若松荘に移転する。しかし、移転先の若松荘で置かれた環境がどのようであったか、在地勢力との関係はどのようであったかは明らかではない。特に越前の吉崎御坊のように寺内町を指向した可能性を検討してみたい。あわせて医王山系に残った＜山岳寺院＞と地域との関係がどのように推移したかについても考察を深めたい。
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