2020 Fiscal Year Research-status Report
Inclusion, Friction and Exclusion over Islamic Thought – Conflict between Khana Kao (Old Group) and Khana mai (New Group) in Thailand
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19K00084
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
柴山 信二朗 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (40572235)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イスラーム / タイ / カナ・カオとカナマイ / イスラーム改革主義 / サラフィーとワッハーブ / 公的イスラーム / チュラーラーチャモントリー / キターブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍の影響により、計画していた2回の現地調査が実施できなかった。そのため、インターネットを通して継続的に補完的調査を実施した。2020年度の研究実績は次のとおりである。 2019年度に実施した1回の現地調査で得られたデータおよび現地で入手した資料、また、2020年度にインターネットを通した補完的調査により得た現地語資料により、調査地におけるイスラームの宗派、学派の歴史および特性について考察した。タイのイスラーム社会における「カナ・マイ(新しいグループ)」にはサラフ思想が深く関わっている。「サラフ」が指す年代により、同グループ内にはサラフィーやワッハーブなどの呼称や思想の相違が観察できる。一方、「コラフ」とも称される「カナ・カオ(古いグループ)」の系譜に属すると見られるタイの公的ムスリムの体系には、タイ南部におけるカナ・マイの特性と見なされる学習形態が、南部よりも早くから取り入れられていたことが確認できた。更には、宗教教育や宗教実践の場で用いられる使用言語を通して見た場合、タイ中部から南部にかけてのイスラーム社会は、ソンクラー県以南のマレー・イスラーム圏と同県以北のタイ語イスラーム圏に大別できることが見て取れた。その特性は宗教教育の場で用いられる教本(キターブ)が、ソンクラー県以南ではキターブ・ジャウィやアラビア語キターブが主流になっているのに対して、同県以北ではタイ語キターブが主に採用されていることにも反映されている。 上述の考察結果の一部については、公益財団法人日本タイ協会の機関誌『タイ国情報』に雑誌論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、計画していた現地調査が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況次第で補助事業期間延長申請を検討する。併せて、調査地において研究協力者を加えるなど研究計画の変更を検討する。 2021年度については、タイのイスラーム社会における「カナ・カオ(古いグループ)」と「カナ・マイ(新しいグループ)」に包摂される思想を、各グループの代表的なウラマーによる講演・講義や著書などから体系的に整理する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、計画していた現地調査が実施できなかったことが主な理由である。 新型コロナウイルスの状況次第だが、次年度に計画している現地調査に加えて、過年度に実施できなかった現地調査を実施する。特に、新型コロナウイルスの状況が改善されず現地調査が困難な場合は、調査地における研究員等を研究協力者とし、マレー語圏における「カナ・カオ」と「カナ・マイ」の思想等に関する調査を実施する予定である。併せてマレー語資料、アラビア語資料の翻訳を依頼する予定である。 なお、コロナ禍の状況次第で補助事業期間延長申請を検討する。
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Research Products
(3 results)