2019 Fiscal Year Research-status Report
アルゼンチンにおけるLGBT権利要求をめぐる宗教言説の変容
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19K00091
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡部 奈々 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (00731449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルゼンチン / LGBT / ICM教会 / カトリック教会 / 同性婚 / プライドパレード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①近年家族やジェンダー問題に対して穏健な姿勢を示しているアルゼンチンカトリック教会の宗教言説の変容を分析し、②LGBTや同性婚に強く反対するペンテコステ派を中心とするプロテスタント教会の言説と比較・検討する。さらに、③実際に教会による同性婚の承認を求めているLGBT当事者たちを調査し、彼ら/彼女らの主張を支える宗教言説を考察することである。 当該年度は、同性愛に関するカトリック教会の教義、そしてLGBTや同性愛に反対するプロテスタント諸派の言説や運動についての文献収集を行った。10月から11月にかけてはアルゼンチンで現地調査を行ったが、研究テーマがジェンダーやセクシュアリティといった非常にプライベートな事柄であることから、研究対象となるLGBT当事者たちとの丁寧な関係づくりが主となった。LGBT当事者によって運営されているICM(International Community Church)教会での礼拝参与観察、さらには11月2日に開催されたLGBTプライドパレードに出店したICM教会のブースで参与観察を通して、LGBT当事者のキリスト者としての主張やアイデンティティを知ることができた。またLGBTを支持するカトリック女子修道会のシスターたちから、首都郊外のモレノ市の取組みについて聞くことができた。 さらに日本国内において、LGBTカトリックジャパンというLGBT支援グループ(教会非公認)と知己を得たことにより、研究テーマに関するカトリック教会やバチカンの情報を得ることが容易となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を行う上で不可欠となるのが、研究対象となるLGBT当事者との関係構築である。 アルゼンチンでの現地調査において、LGBT当事者であるICM教会の牧師や信徒たちと知り合い、礼拝やLGBTプライドパレード(その準備から)に共に参加して、信頼関係を構築することができた。 また文献調査も計画通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年4月にアルゼンチン現地調査を予定していたが、新型コロナ感染拡大のため渡航が不可能となった。恐らく今年度中の現地調査は難しいと思われるため、収集した文献や昨年度の現地調査を分析し論文にまとめ、次年度につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
アルゼンチンでの現地調査の際に、他の科研費も使用したため予定よりも少ない支出となった。アルゼンチンでの現地調査の日数や回数を増やすことを計画している。
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