2022 Fiscal Year Research-status Report
アルゼンチンにおけるLGBT権利要求をめぐる宗教言説の変容
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19K00091
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡部 奈々 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (00731449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルゼンチン / LGBT / ICM教会 / トランスジェンダー / カトリック教会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①近年家族やジェンダー問題に対して穏健な姿勢を示しているアルゼンチンカトリック教会の宗教言説の変容を分析し、②LGBTや同性婚に強く反対するペンテコステ派を中心とするプロテスタント教会の言説と比較・検討する。さらに、③実際に教会による同性婚の承認を求めているLGBT当事者たちを調査し、彼ら/彼女らの主張を支える宗教言説を考察することである。 当該年度は、世界的な新型コロナ感染拡大のために、2019年度から延期になっていた現地調査をようやく実施することができ、文献収集や参与観察、インタビュー等を行うことができた。LGBT当事者の集まるプロテスタント教会(ICM教会)での参与観察やインタビューでの収穫は多かった。同性婚合法化から10年以上が経過した現在では、LGBTや同性婚に対する人々の意識にも変化が表れているように感じた。 さらに、近年アルゼンチンで社会問題となっているトランスジェンダー(生まれた性別とは異なる性自認を持つ人)の人権に関する様々な動き(支援活動や権利運動)を調査することができ、同性婚だけでなくその先にあるLGBT課題も分析の対象とする必要性を感じた。また、アルゼンチン国民の宗教意識に関する調査の最新データを入手することができ、今後の研究分析に大いに役立つと思われる。 現地調査に赴く前には、これまで行ってきた文献調査にもとづいて、研究論文を執筆・発表した(『現代宗教2023』2023年2月発行)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に予定していた現地調査を2022年度末にようやく実施することができた。現地調査にもとづいた研究分析はこれから行うことになるため、当初の計画よりも遅れが生じている。その間も文献調査を進めて、ここまで得た研究成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を再度実施するとともに、これまでの文献調査と現地調査で明らかになった点に関しては、現在執筆中の論文を今年度中に発表するつもりである。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナ拡大により予定していた現地調査を1度しか実施していないため。次年度使用額は現地調査で使用する。
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