2020 Fiscal Year Research-status Report
「朝鮮総督府のキリスト教政策に関する基礎的調査研究」
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19K00093
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
ペ ギトク 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (60814382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮 / キリスト教 / 朝鮮総督府のキリスト教政策 / 帝国日本 / 植民地朝鮮のキリスト教 / 植民地朝鮮の西欧宣教師 / 近代日韓キリスト教 / 帝国日本とキリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地朝鮮における朝鮮総督府のキリスト教政策の全体像を明らかにするために、朝鮮総督府が作成した基礎的諸史料を網羅的に収集・データベース化し、分析を行うことである。そこで今年度はコロナ禍のため、韓国でのフィールドワークができない代わりに、韓国国家記録院、韓国中央図書館、韓国史データベース、韓国歴史情報統合システムのデータベースを利用してオンライン上で公開されている朝鮮総督府のキリスト教政策関連史料を収集・データベース化する作業に取り組んだ。これにより、昨年度に引き続き、韓国に残されている朝鮮総督府のキリスト教関連史料の所在やデータベース化作業が進み、朝鮮総督府のキリスト教政策の時期・事件・教団などの項目別に区分する作業を行った。 他方、研究代表者が軸になって毎月開催されている「朝鮮総督府の宗教政策史研究会」においては、植民地朝鮮の神道、仏教、キリスト教の研究者たちによる研究報告、意見や情報交換などが活発に行われており、朝鮮総督府の宗教政策を神道、仏教、キリスト教からその全体像を明らかにする試みがなされている。 そのほか、今年度の中間報告として9月と3月に、それぞれ「3.1 独立運動直後における朝鮮総督府のキリスト教政策について-朝鮮総督府『朝鮮の統治と基督教』を読む」「1920年代初期の朝鮮総督府とキリスト教をめぐる諸相―『朝鮮の統治と基督教』を題材に」(2020年9月26日、朝鮮史研究会関西部会9月例会、2021年2月27日、「アジア・キリスト教・多元性」研究会 第192回研究会)で研究報告を行い、1920年代における朝鮮総督府の宗教政策と「朝鮮総督府」、「西欧宣教師」「朝鮮教会」の3者の関係性を明らかにするとともに、その成果を公表した。(「1920年代初期の朝鮮総督府とキリスト教をめぐる諸相―『朝鮮の統治と基督教』を題材に」『アジア・キリスト教・多元性』第19号、第2集)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は昨年度に引き続き、韓国国家記録院のデータベースを利用して韓国に残されている朝鮮総督府のキリスト教関連史料(以下キリスト教史料)の所在の把握や史料収集に取り組んだが、韓国現地でのフィールドワークができないため、韓国中央図書館、韓国史データベース、韓国歴史情報統合システムまでデータベースの領域を拡大させたうえでオンライン上で公開されているキリスト教史料を収集・データベース化を行った。詳細には、収集した史料のリストアップ作業を行いつつ、昨年度から取り組んできた「朝鮮総督府キリスト教関連行政文書史料」としてのデータベース化作業の一環として、時期別・事件別・人物別・教団別の詳細項目を設けて、収集した史料の性格、背景、史料間の相互関係などの史料分析も同時に行っている。 これらの、キリスト教史料はその膨大な量とコロナ禍により史料収集が当初の予定より遅延しているが、上述の韓国のデータベースを利用した史料収集やデータベースの基礎作業はかなり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度においては、今年度に引き続き韓国国家記録院、韓国中央図書館、韓国史データベース、韓国歴史情報統合システムのデータベースを利用して史料収集を行うとともに「朝鮮総督府キリスト教関連行政文書史料」のデータベース化を完成する。と同時に、時期別・事件別・人物別・教団別に分類された史料の性格、背景、史料間の相互関係などの分析を通して、当該期における朝鮮総督府のキリスト教政策の全体像を浮き彫りにする。さらに、日本に残されている朝鮮総督府のキリスト教関連史料の発掘やその分析を通して、植民地朝鮮のキリスト教政策と日本帝国、日本帝国のキリスト教との関係性を明らかにする。これらの研究成果を日本と韓国の関連学会(日本宗教学会、韓国宗教学会、日本思想史学会、韓国基督教歴史研究)に研究報告し公表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により昨年度に引き続き、今年度に予定されていた韓国でのフィールドワークができなかった。次年度にも現在の状況が続くと予想されるため、日本国内におけるフィールドワークを中心に行うことを通して、朝鮮総督府のキリスト教政策関係史料の発掘と収集に取り組む。そして、韓国への渡航が可能になれば、積極的に現地調査と史料取集を行う予定である。
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Research Products
(4 results)