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2021 Fiscal Year Annual Research Report

フランクフルト学派における戦略的パフォーマティヴィティとメディア性の解明

Research Project

Project/Area Number 19K00101
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

竹峰 義和  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20551609)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsフランクフルト学派 / メディア / テクノロジー / 映画 / 知覚 / パフィ―マティヴィティ
Outline of Annual Research Achievements

最終年度にあたる今年度において主な研究課題としたのは、1.ヴァルター・ベンヤミンの思想における「再帰性」のモティーフの検証 2.テオドール・W・アドルノによる表象不可能性をめぐる議論を、読者にたいするパフォーマティヴな効果から考察する作業 3.ジークフリート・クラカウアーとミリアム・B・ハンセンの映画理論を結びつける「ヴァナキュラー・モダニズム」の概念の理論的射程を、知覚という点から明らかにする作業 の3点である。
結果として明らかになったのは、1.ベンヤミンの初期媒質論や初期言語論に見られる「再帰性」のモティーフが、後期思想においては、テクノロジーを媒介とした大衆の自己省察というモティーフと、複数の時制を入れ子式に包含する「現在時」というモティーフとに受け継がれたこと、2.アドルノとポストモダン思想の双方が、アウシュヴィッツのように表象不可能なものを表象するという芸術作品が抱えるアポリアにとどまりつづけることを読者に要請していること 3.クラカウアーとハンセンの映画論において、映画メディアが、モダニティにまつわる日常的な経験を反映・媒介することで、観客大衆にオルタナティヴな知覚を付与するという機能をもつものとして位置付けられていることである。

3年間の研究を通じて明らかになったことを簡潔にまとめるならば、1.技術メディアを主題にしたフランクフルト学派の著作が、既存の社会体制のなかで覆い隠されたものを大衆に知覚経験させるという志向が共通して認められること、2.テクストの修辞的なレヴェルにのうちにも、読者にオルタナティヴな知覚経験をパフォーマティヴなかたちでもたらすような戦略的な工夫が施されていること、の二点である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 表象の自己贖罪:アドルノ美学とポストモダニズムの接点2021

    • Author(s)
      竹峰義和
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: 49 Pages: 219-226

  • [Journal Article] ミッキーマウスの経験:後期ベンヤミンにおける経験概念2021

    • Author(s)
      竹峰義和
    • Journal Title

      ベンヤミンの経験への問い:1930年代を中心に(日本独文学会研究叢書)

      Volume: 144 Pages: 43-53

    • Open Access
  • [Book] 映画論の冒険者たち(執筆担当第I部「ジークフリート・クラカウアー:偶然、事物、リアリズム」(60-72頁)、第IV部「ミリアム・ハンセン:映画経験とモダニティ」(199-209頁)2021

    • Author(s)
      堀 潤之、木原 圭翔
    • Total Pages
      312
    • Publisher
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130830829

URL: 

Published: 2022-12-28  

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