2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the concept of femininity in biblical exegesis in late antiquity
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19K00103
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| Research Institution | Tokyo Gakugei University |
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Principal Investigator |
佐藤 真基子 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (30572078)
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2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 古代末期 / アウグスティヌス / 女性 / 聖書解釈 / 教父 / キリスト教 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度として予定していた本年度は、引き続くパンデミックの影響で予定していた国際学会が中止や延期になり、また、国際航空便の受付も中止されていたため、収集した資料を日本から取り寄せ分析することができなかった。このため予定していた進度で研究を進めることは叶わなかった。しかし、ラテン教父アウグスティヌスの聖書解釈を分析し、その解釈に当時の時代状況が反映しており、複層的な主従関係によって形成される社会構造、およびその構造の中にはたらく人間の支配欲に対する彼の批判的考察が、その「女性性」の理解と密接に関係していることについて研究を進めることができた。特に、ヒエラルキーの理解と女性についての理解の関係を分析した研究は、2022年5月に開かれる国際学会（NAPS Annual Meeting)で発表することが決まり、また、彼の説教に注目して行った分析は、2023年にLexington Booksから出版予定の書籍(Augustine and Ethic)に収録されることが決まった。
2021年度中には、「アウグスティヌスにおける楽園神話解釈に基づく人間観の形成――「嘘」の概念に注目して」が、『「原罪論」の形成と展開：キリスト教思想における人間観』（知泉書館）に収録され、刊行された。この原稿では、現代のフェミニズムの観点でしばしば批判の対象とされてきたアウグスティヌスの聖書解釈に基づく人間理解を再検討した。また、ギリシア教父ディデュモスの研究者による講演の翻訳（ピーター・スタイガー「神の友の形成ー盲目のディデュモスにおける模範的教師としてのアブラハム」が『パトリスティカー教父研究ー』第24/25合併号に収録され、刊行された。ディデュモスの研究は日本では未だ少なく、本翻訳で言及されているディデュモスの複数の著作も邦訳は未刊行である。その点で今後の日本の教父研究に資する成果となった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
パンデミックにより、予定していた国際学会が延期または中止となったため、研究成果を学会で発表する機会を十分に得られなかった。国外在住に伴い、収集した資料を国内から輸送して得る必要があったが、パンデミックのために輸送の受付が中止されたため、研究遂行のための資料の分析が十分に出来なかった。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の期間を延長し、2022年度を本研究の最終年度とする。第三年度までに十分に進められなかった思想史的観点からの分析を進め、古代末期の社会状況と、当時のキリスト教教父による聖書解釈が具体的にどのように関係し、その女性観を形成、展開しているかを具体的に明らかにする。2022年5月にはアメリカ・シカゴで開かれる国際学会で発表し、その成果を吟味した上で論文にまとめる。9月には日本に帰国し、パンデミックの影響によりこれまでアクセスできずにいた資料の分析にあたり、本研究のまとめの作業に取り組む。
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| Causes of Carryover |
パンデミックの影響で、研究計画当初予定していた学会発表が2021年度内にはできず、次年度内（2022年度）に行うことになったため、旅費として計画していた分を繰り越すことになった。また、物品費として2021年度内に使用予定であった資料のための経費も、国際郵便の受付停止のため日本国内から在住所に輸送することができず、購入を見合わせた。2022年度は、5月に行う学会発表において旅費を、9月に行う研究所での資料収集・分析の作業において旅費と物品費を、その他、研究の最終年度に際し必要な資料を収集・分析するための経費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
